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Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service
Arohiteotural エnstitute of Japan
凵本建築学会計画 系論文集 第 458号，
145−153
，
1994年4月
J．
ATchit． Plann． EnvLmn ． Eng ．
，
AIJ，
No ，458 ，
145 −
153 ，
Apr．
，
1994
屋 根 付テラスと連続 歩 廊 の街並み景観 につい て
東南 アジアの植民地都市とその建築様式 に関する研 究 その2
TYPOLOGY OF ROOFED TERRACES AND COVERED CONTINUOUS
WALKWAYS
Part
2．
Astudy on colonial
cities and architecture of Southeast
Asia
泉 田英 雄＊
，黄 俊 銘＊ ＊
ffi
’
deo
JZUMI ヱ）A and Chu
Min ffUAAi
Roofed terraces and cevered continuous walkways bordering sしree しs a：e ma ゴ
or charac ［¢ris 一
巳ics of
ci 巨es in So ロtheast
Asia and South China ．
Th ¢sc exist ／
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colonial
cities
but also in such
citLes of independent nations as Bangkok ，
Can しon ，
Amoy
and Tokyo ．
This a匸ticlc
discuss 巳s ［he re ［ation of planning backgrourd and typology ．
It
concLudes
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standardize native Asian se し【lcm ロnts ，
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illdopendont
countries
who
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to
medernize traditiona且
cities ．
Keywerds ：Colooial City ，
Urban Planning ，
Townscape ，
Walkway ，
Shophouge ，
Terrace ，
Arcadc
植民地 都市，都市計 画，街路景観 、
歩道，ショ ッ プハウス，テ ラ ス，アーケード
1．はじめに
本研 究そ の 1で，1819 年から1823 年にかけ て
施 行 されたシ ン ガポール都 市 計 画 において連続歩廊が規
定されたこと を 明 か に し，そ し てその後 同 じ よ う な 都 市
計画法 が英 領 海 峡 植 民 地 及 びマレイ連邦州 にも 適 用さ
れ，そ の 結果この地域の市 街 地 が 同 じ景 観 の均質的な街
並 み と な った こ とを指摘 した1）。今日，この地域以外 に
の東 南 アジアや中国南部の諸 都市でも目にすること が で
き，連続歩廊 が あ る 時 期 に ア ジ ア に 広 く 建 設された こと
が 窺 い し れ る 。しかし，その形態や幅員には大 き な違い
が あ り，
本 稿 では シンガポール都市計画と 比 較しながら，
こ れ ら の 連 続 歩廊 の 形 態 的 特 徴 と 計 画 的 背 景を明ら か に
して み たい（図 1）。
2，南 洋 の カ キ ・
リマと五脚基
庇の架けられた街路と冢屋 の 問の 空 間は，今日 イ ン ド
ネ シア，シンガ ポ ール，そ し て マ レ イシアで 広 く 「カ キ
・
リマ（
Kaki Lima ）
」と呼ばれ，そ こ で 営まれる露 店 活
図1東 南 アジア及び 中 国 南 部 にお ける連続歩廊の見 ら
れる地 域 （網 線 ） と都 市 （下 線 ）
＊筑波大学芸術学 系 講 師 ・
博士 （工学｝
林中原大学建築 学系 副 教 授・
工 博
Lecturer
，
Institute of Art and Design ，
Univ ．
of Tsukuba ，
Dr ．
Eng ，
Assoe．
Prof，
，
Faculty of Architecture
，
Chu Guen Univ ．
，
Dr ．
Eng ．
一145一
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．
羅一彗一
一
図2バタヴィア の 「雑 貨・
衣類品 街 」 （
Nieuhoff より）
動について最 近いくつかの著 書 が 出 版 さ てい る2 ま ず ，
この言葉の意 味 と形態 を明かにし，シ ン ガ ポ ールの連 続
歩廊との関係を考 察 し て み た い。
このマレ イ 語は直訳すれ ば「五 つの脚 （足 ，歩 〉」であ
り，主要な字 典 によれば長さでは な く建 物 の特定の部 分
を 意 味し て いる3）。シンガ ポ ール と マレイシアでは 英 語
で「ファイ ヴ ・
フット・
ウェイ」及び福建 語で「五 脚 基 ．1
と 通 称 さ れ て い が，それぞれの言，吾
の中では明 確 な 意 味
を持って い な い 。しか し，共 通 し て 「五 1という数 字 と
「
．
脚 」 と い う 身 体 部 分 名 を 伴 って お り，
この中のど れ かが
起源で，他はそれ を借用 したのであろう。16 世 紀 ヨー
ロッパ人が海洋 アジアにや って来た ときに マ レ イ語が交
易のた め の共通言語になって い た こ と を考え る と ，
「カ キ
・リマ」 が 最 も 早 くから用いら れ ，ついで南洋に住み着
くようになった中国系住 民 （華 人 ） た ち に 「五 脚 基 」 と
して取り入れられ，そ し て 19 世紀 初頭のシンガポール
建設 と と も に 「ファイ ヴ ・
フット・
ウェイ」と英 語 にな
っ
てい た と 思 わ れ る 。実 際 ，「五 脚 基 ．1は南洋華語で「ン
ゴ・
カ・
キ（
ngo −ka −
ki）
」4〕と発音 され，マレイ語 の1
．
カ
キ」と 音 を 合 わせて漢字 を当て はめたものである。ま た
「ファイ ヴ ・
フット・
ウェ
イ」は，明らかにこ の 「五 脚 基 」
の単純な英語 訳である。
さ らに，「カ キ ・
リマ」という 言 葉 が 17 世紀半 ばのバ
タヴィア（現 ジャカルタ）で岡いら れ ていたら し い。1
650 年代バタ ヴ ィア に 滞在して い たオ ラ ン ダ人ニュー
ホフは，そこ の 「雑 貨・
衣類街」 に つ い て 次のように記
し て いる。
建物全体は木造で，五歩あるいは ギ ャラ リ ー（five
warks or garlcries ）によって分け ら れ，両側に店舗
を 構 え ている。店先の扉は日夜開放 されたま まで，客
の購 買欲をか きたてよ う と 商 品を夜遅くまで並べてい
る。
i〕
・鰹靉覊
図3バタヴィァの華 人街（
Nieuhoff よ り）
図 中 （
図2）の中央部の小さな 屋 根 のかかった部分が，
「
五歩あるいは ギ ャラ リ ー」 で あ る 。わざわ ざ 「＿あ る
いは．＿．」と述べているのは，そ れ が 「五 歩 幅 のギャラ
リー
」 で は な く ，現地住 民の間で「五歩」と呼ばれるも
のが あ り ，そのオ ランダ語 の 説 明 と し て 「ギ ャラ リ ー」
という言葉を付け加え た の で ある。さらに，「五 歩 」が 長
さを示 し て い る のであれ ば，「ギ ャラリー」
の間口幅は4
メートル前 後 に な り，絵 図 の そ れ と は 大 き く 異な る 、，そ
う す ると，ニューホ フ が現地住 民にその名称 を 尋ね た と
ころ，「カ キ ・
リマ」という答えが返 ってきて，彼は そ れ
を「五 歩」 と 直訳 し たと考え ら れ る 。おそ らくは，も と
もと は 「 リマ・
カキ （
5尺 ）亅前後幅の屋 根 付 テ ラ スや 通
路 を 意 味 していたのが，他言語 に採用される際に語順が
逆 転 し て 「カ キ ・
リマ」と な り，し だ いに幅 員 より も 建
物の部方を示す ようになったの で あろう。少なくとも1
7世紀半ばのバタヴィアにはそ う呼ばれるものかあり，
ニューホフにとって非 常 に珍 し く，特 筆 に値 す るもので
あった。
次 にその形態を検 討 し て み た い．バタヴィア の 「
雑 貨
・
衣 類街 」では店舗の中央に架 けられ た形態であり、建
物全体 で一種の市場 で あった。こ れ は 例 外的 な も の で あ
り，住居 が伴う街並み の中の事例 と し て は 同時代 のバタ
ヴィァ．
（図 3）や歴史的な港市都 市に多 く見いだ さ れ る 。
バタ
．
ヴィァでは，華人住 民 た ち は 各 自 思い思い に 街 路 に
張り出し て 庇を建設し て い た と こ ろ，18 世 紀 初 め 総 督
によって建設が禁止された こ とが知 ら れ て いるら
ま た，
パタニやマラッカ （
写 真 1）に現存す る街屋のそれは冢
屋の前面を街路か ら 少し後退 させて，上 に 軒や庇を 架 け
たもの で ある。おそら く こ の 形 態 が最 も 一般 的 な「カ キ
・リマ」 で あ り ，各戸が街路 か ら少し後 退 し て 家屋を建
設 し ，商いや接客のた め にその間に屋根付 きの テ ラ ス を
建 設 し た のであろ う 。し か し ，これ ら はあ く ま で各戸の
屋根付テ ラス空間であ り，連続 歩 道として の 役割は持っ
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写 真 1マラッカ華人街の街並み（
1980 年撮影）
写真31860 年 代 香 港 の 街 並 み （
”
Fragrant Harbeur ”
）
ていな か った。
とこ ろ で ，パタ4とマラッカの街屋の屋根付 テラスの
幅は，実 測 によると1．
6m 前 後 ，2．
1m 前 後 ，
2．7m
の三種 類 あ り ，モジュー
ルを30cm 前 後 とす ればそれぞ
れ5尺，7尺，9尺である と 考えら れ る。そうする と ，
シンガポール都市計 画では土着 的な屋根付 テラスの最 小
値5尺 （ 5ft ．）が連 続 歩 廊 に採用 さ れたことになる。
こ
の都市計画 は，前 稿 で指 摘 し たよ う に二層列柱 廊によっ
て規則 的 で連続的な街並み を作 り出そ うという も ので，
公 共 に 連続 歩廊 を提供 しよ うということは二次的な 目的
であった。実 際 ，シ ン ガ ポ ールの幅員5尺の歩廊はあ ま
りにも狭 す ぎ ，19 世紀末 の写 真 を 見 る と 人 々は 車 路 を
通行し て い る （写 真2）。公 共 通 路 と して有 効 に機能す る
に は ，その後成立する英領 海峡植民地及 び英領マレイ 連
邦 州 ，
さ ら に中国南部 の諸 都 市 に 見られ る ように幅員2．
5m 以上 が 必 要 であった。
3．香 港 の「ヴ ェランダ 規 則」
シンガポールのよ うな景観規則を含 んだ都市計画は，
写 真 219 世紀末 シ ン ガ ポ ール街並み
幾多のイギリス植 民地都市 の中では 例 外 的 な も のであ
り，その20 年 後 1841 年に領 有 さ れ た香港植民地で
はまったく総 合 的 な 都 市 計 画 は作 成 されな か った了
．
と
こ ろ が、中国系 住民の人口が増加 し稠密居 住が烈 しくな
ると，植 民 地 政 府 は 彼 ら の居住地が火災 や伝染病 の温床
になること を 恐 れ ，1856 年最初 の建築規則を発布 す
る こ とになった。こ の 「建 物 と 妨 害 行 為 に 関 す る 規 則 」
e〕は20 条 か ら な り，建物を耐火造 にするた めに材料，
寸法，構 法を規定 し，また衛生的にする た め に 調 理 場 及
び便所 の仕 様を定 めただけでな く，他の敷 地 に跳ね出 し
て増改築すること を 禁 止 し た。こ の こ と は すで に 住 民 が
勝 手 にそのような行 為 をしていた 証 拠で あ る が ，し か し
1860 年代の写 真 史 料 に よ ればこの規則が発 布 され’
て
か ら も
仮設 的 構 法 で看 板 やヴェラ ン ダ が 作 り続 け ら れ て
いた こ と が 分か る （写 真3）。
そし て ，それ ら は違 法 な分だけ構造的に危険なも
・
のと
なり，通行人の邪魔にな ることが多かったの であろう。
そのため，1878 年 に 植 民 地 政 府 は 「ヴ ェランダ 規 則 」
e｝を発布することに な った。全文は8条 か ら な り ，重 要
な 箇 所 を 以 下 に示 す 。
1．．＿番地．＿番の 土 地に隣接す る官 有 地 にヴェラ ン
ダを建設す る 許可を政府か ら 取 得 す る た め に ，計 画 図
面を 技 師 局に提 出し，その計 画 通 り に施工すること を
約束する。
2．以上 の計画の ヴェランダにいかなる増改築 の工事 を
行 わ ず，またそ こ を閉鎖せず ，さらに浴 室 ，便所，寝
室，倉 庫 、台所などとして使わないことを約束す る。
こ の 規則 は，公共歩 道 （官 有地）の上に張 り 出 して二
階 以 上 を 作 る こと を 認 め る 代 わ り に，その部 分 も 185
6年の「建 物 と妨害行為 に関 す る規則 」 に 従 って 耐 火 造
と し ，またヴェラ ン ダ（連 続 歩廊） を 歩行者の邪魔に な
らないように，閉 じて商売 や居住の目的で使ってはいけ
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写 真 41880 年 代末香港 の街並み（
Fragrant Harb 。ur ）
ない こ とを定め た もの で ある。こ の ようにして香港には
連続歩 廊 の街並み が 生 ま れ る こ と に な ったが，シンガポ
ール の ものと は 全 く 異なった経緯で建設さ れ たものであ
ることが分 か る．
植民地 政府は街路景 観の規 則性や統一性の視点から連 続
歩廊建 設を検討す ることはな く，中国系住 民の止 まない
違法行 為に対 す る 懐 柔 的 解 決 策 と して，また稠 密 都 市 居
住に対する一つの解決策として考 え 出 さ れ たものであっ
た1°
こ の よ うな段 階 を 踏 みな が ら19 世紀末 に形成さ
れ た 香 港 の街路景観 は，結果 的に当時の海 峡 植 民 地 及 び
マレイ連 合 州のものと非 常 に 似 たものに な った（写真
4）。
4．中国南部の亭仔脚 と 有脚騎楼
イ ギ リ ス植民地 以 外 に も，台 湾 ，広州，汕 頭 ，厦 門 な
どの中国南部の都 市 にも連続歩廊 が 存在 す る。台湾では
亭仔脚 と呼ばれ，その起源が日本 植民地時代 の都 市 計 画
にあ るこ とが指摘 されている11 〕 。し か し ，
1910 年に
台湾公医会が行った衛生調査報告 書は，そ の こ と に つい
て次のように述べている、，
市街形 の模範と し て約二六，七年前台北城内及び同 新
起街建設の時設 け られた劉銘伝 の家屋建築 規 則 に 依 れ
る形状は本 島 在 来 の構造 法 に依り市街形に当嵌めて定
めたるものの如 く整 然 た るものあ り ，その建図左の如
し，但し屋内には二階 あ り
市街形 の特 徴 は亭仔脚 を有す る一事にして其れ台 湾 特
有の制 なるが如 し，本 島 と 関 係 浅 からざる南清諸市街
には亭仔脚 を見ず ，亦 本島各地 の市 街 に於いて鹿 港 の
街路屋 は 之 を 除き他の旧時に成 れ るものは何 れ も亭 仔
脚を有せず，其の在るものは前記 劉 氏の建築規則 以 後
の事なり。】2）
劉銘伝 と は 1887 年 清 朝 政 府 か ら派 遣 された台 湾 巡
一．
148 一
陽 1
炉
寧
岶門 闘
旺
譚
店
讐
図4劉銘伝 の新 式街屋の平 面
撫で，鉄道建設を始め と する洋務運動を推進 し た ことで
知 ら れ て いる13 その運動の一つが 上 記 に 述 べら れ た 新
市街建設事業で，地主 に 街 路か ら 後退 し て 「亭仔脚 」 と
呼ばれ る部 分 を 作 ら せ るようにしたが．それは中 国 南 部
では鹿港を 除 くとこ の 事業以前には存 在 しな か ったと 述
べて い る。本当にそうであったのか確かめること は でき
ないが，
．
報告者 が規則正しい街 並み景観 に特に感 心 して
いること を 考 え ると，こ の 場 合 の「亭仔脚」 は 伝 統 的 街
．
屋にみられる各 戸 に勝手に作られた屋根付テ ラ ス で は な
く連続歩廊であった と 考 え ら れ る。その建 物 の図を見て
み る と （図4），街屋 は 奥に向 か って廰，祭 壇 ，寝室，食
堂，裏庭，そして屋根 裏部屋がついてお り，華 人 の典 型
的な街屋建築である に もかかわ ら ず ，正面に は ・
定 幅 の
連続歩廊が 設 け ら れ て いた。この部分 が 劉銘 伝 の新市街
家 屋の特徴であ った。
し か し ，こ こ がどのよ う に使われるべきか彼 は 定 め な
かった か ら ，所有 者は勝手に荷物 を置いた り，商 品 を 並
べたり，また他人に 露 店 の場 と し て 貸し出し，実際は連
続歩廊の役割は 果 たさなかった14 さ ら に 建 物 は木造 平
屋 建 てで，稠密居住 にも 耐 火 造 に対応 するものでも な か
った。そ う す る と劉銘伝にとって連続 式歩廊 は近代 化 の
形 態的象徴であったのであ り ，シンガポール の ような植
民地 都市の街並み景観 を台湾 に移 植 し よ う と したと 考 え
られる。
20 世 紀 に 入 る と ，広 州の都市計画 の中 に も 連 続 歩 廊
が定められることになる。辛 亥 革 命 の後，国民政府は根
拠地 広 州 で 近代化事業 を始め，新市街建設もその一環 と
して実 施 された。1912 年，市 内 の建物と街路を取 り
締ま る 警 察庁は 「
取締建築 章 程及施行純唄U」を発 布 し，
その中で連 続 歩廊を次 のように定めた 。
14 ．堤岸及び各道路 に面 して住 宅 や店舗 を建造す る際，
交 通 の便 利 を 計 るた め に，私有地 に幅八尺の地を留置
し て 有 脚 騎 楼 を 設 け る こと。
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鮪
腰
写真5広州の連続歩廊（
1986 年撮影）
15 ．道 路に面 して住宅や店舗を 建 造 す る際，門 前 よ り 幅
八 尺 の地を留置 し，有脚 騎楼を設 ける こと。有脚騎楼
の両側を板，壁 や 竹 垣 な ど で 遮 断し，または商売 ある
いは物 置 に よ って通行 人の邪魔をすることを禁ずる。
16 ．防火策と し て 建物 を煉瓦 造瓦葺 きにし な ければな
ら な い。15 ／
こ の 建築規 則で は 連 続歩廊 は 「有脚騎楼」と し て 述 べ
ら れ ，条 文 から明らかな ように幅八尺の土地 は個人の所
有であるにもかかわ ら ず，そこを公共通路 の用に提 供 さ
せ よ うというもので あ ワた。騎 楼 と は 前 述 の亭仔脚 と同
じ意 味 と考 え ら れ る が，この場合奥行き八尺もあるか ら
片 持 ち 梁 形 式 より 構 造 的 に よ り 安 全 な 有 脚 形 式 にし た の
で あ ろ う 。幸 運 と いうべきか同年大火が起きて；その再
建 事 業の際に こ の 規 則 に従っ
て多 数 の連 続歩廊が建 設 さ
れることになった （写 真 5）le ）．
中 国南 部 の他の都 市 につい て は，広州と 同 じ 広 東 省 下
にあった汕 頭 を 除 く と20 世紀前半の都市計画 につい て
は 不 明 な と ころが多 い。汕頭は自治市と な る と と もに，
1921 年「汕頭市 改造計画．，
17 ）を実施 し た こ と が 知 ら
れ，他の都 市 でも20 年 代 に都 市 改 造 が 行 わ れ た ら し い 。
その こ とについて，富田芳郎著 『
南支那の聚 落』は次の
ように述べて い る。
潭州；市 街 は1923 年 陳 炯 明 が市区改正に着手し て
より，主要街路 は 10 米内外の幅員を有 し，二階建て
亭仔 脚付 きの店 舗が並ぷu
厦 門 ：1926 年より 市 区 改 正に着手し，堤工の完 成 ，
バンドの高層 建築の整備を な し ，主 要 街 路 は 且928
年に改修を終 わり舗装を 施 し ，幅員も中山路70 呎，
思明路北路及び南路 62 呎，思 明 東 路 52 呎．大 同 路
開元路共に40 呎で，その両 側 には 五 ，四，三階の高
層洋風店舗 が 整 然 と し て 連 な り ．亭仔脚を通じ て 人口
20 万人 台 の都 市 と し て寧ろ そ の 偉 大 さ に驚 く も の で
写 真 6厦 門 の連続 歩廊（
1986 年撮影）
あ るls ］
。
すな わ ち ，192Q 年 代 に中国南部 の諸 都市で都市計
画が実施され，そのときに連続歩廊が規定 されたこと が
分か る 。その規 則 の詳 細 は不明であ るが，当時の写 真 に
よ れ ば，その空 間 は 富 田 が述べるように 「整 然 と 連な る
高層洋風店 舗 」と し た景 観を呈 し ており，土地 あるいは
建 物 の所 有 者 （賃 貸 者 ）が維持管理す ることが定め ら れ
ていたと 考 え ら れ る（写 真 6）。
5．連続歩廊の分 類
こ の ように，連 続歩廊を定 めた都市計画が1820 年
代から1920 年代のお よ そ一世 紀 の間に東 南 アジアか
ら中国南部の諸 都市で施 行 されたことがわ かる、，そ れ と
は 別 にカ キ ・
リマ，亭仔脚，有 脚 騎 楼 と呼ばれ，街 路 に
面する建 物 正面に屋根付 テラス空間が作られていた。熱
帯 及 び 亜 熱 帯モ ンスーン地 域 で 朝 か ら 夜 ま で商品を店先
で並べて売る と い ．う華 人 たちの商・
住習慣に合致す るも
の で あったのであろう。しか し ，これは土着 的な もので，
連続 性 や規則性に 乏 し か った。
これまで述べてきた都市計画の連 続 歩廊にはいくつか
の違いが み ら れ る が ，そ れ ら の計 画 の目的や建築 形態な
ど を 整 理 す る と 表 1の ようになる。まず，具体 的な目 的
か ら 検 討 してみ よう。
規 則的で統一的な市街景観 の創 造 ：ラッフルズのシン
ガPt
一ル都市計 画 ，ウォートルスの銀座煉瓦街 計画
覆 いのついた公 共 連続通路の確 保 1 シ ンガポール都市
計画
居住空 間の増 加 策 ；シンガPt
一ル都市計 画 ，香 港 の「ヴ
ェランダ 規 則 」
近代化事業としての新市街 モ デル：ラーマ四世のバン
コク新市街 計画，銀座煉瓦街 計画，劉銘伝の台北新市街
計画，広 州 ，汕頭，厦門
の目的は，シ ン ガポールでは連続歩廊の前 面 に列 柱
一149一
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ジヤワ シ ン ガ ポ ー
ル香 港バンコック東 京 台 湾 広 州
計画背景
植 民 地都 市
ラ7フ
ル
ズの都 市
計画（1816？）？
植 民地都 市
ラ7 フルズの都 市
計画（1823
）
植 民地都 市
ヴェラ
ン
ダ 規 則
（
1878
）
近 代化事業
都 市再開 発
（1862）
近代化 事業
銀 座 煉瓦街
計 画 （
1872）
近代化事業
劉銘伝の新 市
街 計 画 （
1887
）
近代化事業
取 締建築章程
程及（1912）
．
：
公 称
一一一
1冒一一一■
俗 称
Stadten
Tro−
ttoirs ？
一一，，齟一＿一＿一＿一一
Kaki
Lima
Bovenstoep
Galer
’
ij
Verandah
印 語or 葡 語 ？
一一一一一一一一帋冒一凾■
Kaki L洫a
五脚基
Five
Footway
Verandah
−一一一一一一一一一
〒−一
不 明
■一■一一一一一山一一一一
歩廊 （ア
ー
ケ
ー
ド ）
冒■一■一一一一一一一一
，
亭 仔 脚
曽一一一＿一一一一一＿＿＿
有脚騎楼
一一．凾＿一一一一鹵一一一
形 態
・
テラスと庇から
なる軽微な
構造
・
一階 部 分 を
後 退 し，列
柱廊 とする
・
公共歩道 上
二階以 上張
り出 し建 設
・
テラスと庇 か ら
な る軽 微 な
構 造
・
建 物 前 面 に
列 柱廊付加
・
歩道 と分離
・一階部分 を
後退 し，列
柱廊 とす る
・
一
階部分 を
後退 し，列
柱 廊 とす る
幅 員 5ft．？5−7ft．8−12ft，不 明 ．4尺5−1間不明 8尺
土地所有 ？？ 私有地拠 出公有地許可制不 明 私 有 地 拠 出 私有地拠 出 私 有地 拠 出
計 画 目 的
統一的景観？◎統一的景観
○居住空 間増
○不燃化
◎違法 建築の
取締
◎居住空 間増
○不燃化
◎都市近代化
○統一的 景観
○ 投資事業
◎都 市近代化
0統一的景観
○不燃化
◎ 都 市近 代 化
○統一的景観
◎都市近代 化
○統一
的 景 観
○ 不燃 化
表1屋根付 テ ラ スと連続歩廊 の分類
を 並 べる方 法 を 使 ったが，特に異なる生活習慣の人々を
居住 させる 新 都 市 にとって，植民地権力側にとって全体
を 統 一す る ための有 効 な 手 段 であった に 違い な い 。二層
列柱 廊は シ ンガポールで は実現 さ れ な か ったが，一層 列
柱は ウ ォート ル スの銀座煉瓦街計画で実現 し て い る 。
の近代的市街 モデル と し て の 導入は，独立政 府 に よ
って行 われたことが特徴であるeタイ国王 ラ ーマ四世は
1860 年代近代 化事業の一環として，海峡植民地 の都
市をモデルにしてバンコックに新市街建 設を実施 した こ
と が 知 られているZ2 ま た，明治初期の銀 座 煉 瓦 街 計 画
もこの性格が非 常 に強 く ，1860 年 代 に は アジアの独
立国 家 にとって連続歩廊は都 市 の近代化 の象徴 になって
いたと考え ら れ る 。
中国では，清 朝 時 代 に 台 湾 に巡撫として派 遣 さ れ た 洋
務派官 僚 だけが近代化事 業 とし て 連続歩廊 を 取 り入れ た
が，その後民 国 政 府 下 で 1910 年代か ら20 年にか け
て近代的市街地建設 の手段 と して本 格 的 に 導入 さ れ た 。
こ こ で は 旧政 体 および在 来 の街並 み か ら の決別が意識 さ
れたと考えら れ る。香港 は イ ギ リ ス軍民 の 都市 と し て 建
設され たため，その近代化 は必要では な く，せいぜい自
ら の 安全で衛生 的な居住を 脅 か さ れ た 場 合 に華人居住 地
を改 善 す る という消極的 な態度であった。
の意味 す るところは気候 風土 に対する配慮で あ り，
熱帯及 び亜熱帯モンスーン地 域 の商 業 空 間 及 び 都 市 居 住
にとって非 常 に大 き な 長 所 が あ る 。他の規 則 の中でそ れ
が 明 文化されていないが，それを認めて い な か ったの で
は な く，述べる必要もないほど当然の こ とであったの で
あ ろ う 。
第二に連続歩 廊の所有形 態は次の二つに分 け ら れ る 。
私 有 地：ほと ん ど の場 合 これであ る
官有地；香 港 の「ヴ ェランダ規則」
香港の場 合を除 くと，連続歩廊の土地はその土地所有
者（
賃貸者 ）が公共の用途に拠出す るもの で ある。従っ
て，彼 らは一階部分 を ある・
定の長さ後 退 し て 建設 し な
け れ ばな ら ないだ け でな く，そこを個人の目 的 で使用し
て は ならず，さ ら に海峡植民地 ，日本植 民地時代 の台湾，
そ し て 広州の1912 年の都 市計画 で は 彼らが維持管理
の貴任を負 わなければな らなか った。このように 義 務と
負担が課 されても，連続歩廊 によって買い物客に便宜を
提供す ることは家内規模 の商 売 を営む華人 た ちにとって
大 き な 利 益 で あったに違いない。
第三 に 連続歩 廊の幅員 に ついては 検 討 し てみると，シ
ンガ ポ ール，マレイシア，そして銀座煉瓦 街 では5フィ
ート前 後 になっている。そう す る と 有効幅 はもっと狭 く
な り ，これでは公共通路 と しての役 割 は 弱 く ．やはりそ
の主 目 的 は 列 柱 による統一的景 観 作 りであった と 考え ら
れる。少なくとも，香港，台 湾 ，広州，厦 門 な ど のよう
に8尺以上 の幅員がな いと生 活に結びつ い た連続歩廊 に
はな らないよ うである。ところで，シ ン ガポール都 市 計
画 と 銀座煉 瓦街 計 画の間には，こ の 統一的景観創造の他
に道路の等 級 に応 じ て歩廊幅員 を 3種 類 に分 け るところ
にも 共 通点が あ り，両者に共通の参考書があった と 考え
られ る。
6，まとめ
ラッフルズによ るシンガポール都市計画 以 前，マレ イ
半 島 からジ ャワ島に か けて の 港 市に屋根付 テ ラスが存在
し，特に華人街に顛著であった。それ は 各 戸 が 自 ら の便
宜のために作 り だしたもの で あ り，特に こ の 地 域におけ
る華人の生 業と気候風土条件 に合致するものであった の
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であろう。この屋根付テ ラスは，17 世紀に お い て 「カ
キ・リマ」と呼ばれ て い た と 考え ら れるが，その起 源 は
不 明 である。それによって作 り出される街並 みが不連続
かつ不規 則であったのに対し て ，連続歩廊はイギ リ ス植
民地権力 や近代化 指向のアジア諸国にとって伝 統 的 街 並
み か ら 決 別 す るための景観規 則であ った。す な わ ち ，列
柱によ る 連 続 歩 廊 は これ ら為政者 にとって理想 とされる
ヨーロッパ式や近代式の街 並みを実現す る最 も 効 果 的 な
手法であった と 考え ら れる。
今後の課題 と し て，これ ま で連 続 歩 廊 によ る 街 並 み 景
観 が為政者側 によって作 ら れ たことを述べてきたが、最
近の急激 な都 市再開発の中でそ れ が 住民にとってなんで
あったのか，そし て 今 後 の都市計 画 の中で ど の よ うに位
置付けてゆ く のか明ら か にする 必 要が あろう。
本 稿 は ，文 部省科学研 究費研究 （ア ジアのコ’
ロ ニ アル
建 築 に関す る研究）の成果の一部である。
謝辞
本稿 の執 筆 にあたっては．マレ イ シ ア 工 科 大学エズ リ
ン・
ア ル ビ教 授 ，大 東文化大学生 田 滋 教 授 ，京都大学加
藤剛教授及び摂南大 学深見純生助 教授 に助言をいただ
き．また国際交流 基 金 特 定 国 派 遣 事 業 の助 成 を 受 け た 。
記 し て 謝 意 を表したい。
脚 注
1）
拙 稿 ，「シ ン ガ ポ
ール都 市 計 画 とショ ッ プハウス 東
南アジアの植民地都 市 とそ の 建 築 様 式 の研究 そ の 1」
日本 建築学会 計画 系論 文報告 集413 号，1990 年7月，161
〜
172 頁。
2）
マレイ語を語源 とする言 葉 で，インドネシ ア 語大字典
（
Kamus
BesaT
Bahasa
Indonesia
，
Jakarta ，
1991 ）によ
れば，家と家の間を繋 ぐように屋根が架かった舗道，
街 路 沿 いの商店 の側 廊 （たいてい幅5フィート で ，露
店と し て 使わ れ る ）， 道 路 端 （の 舗 道 ），ま た マレ イ シ
ア語字典（
Kamus Lengkap ，
Kua 且a Lllrnpur，
1984 ）
では
ファイヴ・
フット・
ウェイ．
，歩 道 ，舗道， 家 の 正 面の
テラス と，今日 イ ンドネ シアとマレイシアとで はほとん
ど同じように 理 解 さ れ ている。インドネ シアで は行商も
「カキ・
リマ」と呼ばれているよ う である（加藤，土屋、
深 見 編 『イ ンドネシアの事 典 』
）。
3）
著 作 と し て は 次のものがある。Archi Ψcs and Oral
HLstory Departmefit of Singapore 、
Five Foot Way
Traders （五脚基）
，
Singapore ，1・
98・
5．
．Schoch ，
LilLi
N．
，
Kaki Limaand Streethawkers tn 【ndonesia ．
Jakarta ， 1986 ．
4）
許雲樵編 『南 洋華語俚俗 辞典』1961 年。こ の 辞 典 によ
れば，「五 脚 基 」 は 南 語 読 み の 言 葉 で あ る 。
5）
Nieuhoff ，
J．
，
”
Travc 且s and Voyages しo East
India ”
，
1988 rp ．1667 ，
p．277 ．
原著は オ ラ ン ダ 語 で書
かれ，その初 版 から1年 後 に英 語 に翻訳 された もの で あ
る。
6）
1717 年に総督であったクリストフェル・
フォン・
スウ
ォル は 、当 時 華 人 た ち が 街 路 に 張 り 出 し て 屋 根 付 テ ラ ス
（
Bovenstoep ）
を 作 っていたことに対 して，
それが都 市 景
観や衛生 を 悪化 さ せるの で，その建 設 を 禁 止 し た こと が
指 摘 されており（
Greig ，
D．
，
The Reluctant Colonists ，
1987 ，p．
196 ）
、バタヴィア で は 屋 根 付 テラスが華人街に
典 型 な も ので、また そ の建設 を放任 し て おくと不規則で
不衛生 に な る も の で あ った ら し い 。
7）
Eite 且
，
EJ ．
，
Europe in China ： The History of
Hong
Kongt 1895 ．
pp ．156 −157 ．
8）
An Otdipance
for Buildings and
Nuisances ，
British
Parliamentary
Paper ：Heng Kong ，
1978 ：
9）
Verandah
Regulat 廴on ，
BPP ：Hong
Kong ，
pp ．676−
677，
1978 ．
10 ）
Chadwick ，
O”Mr ． Chadwick ，
s Report on
Sanitary
Condition of Hong Kong ，
BPP ：Hong Kong ，
pp ．97 −158 ，
1978 ．このチャド ウ ィ ッ クはイギ リスの労働 者階級住宅
改善で知られ る衛生技 師 エドウィン・
チャドウィックの
甥で，1879 年に香港 政府 か ら中国人居 住地 の衛 生 調 査 と
その改 善 策 提 出 を 依 頼 され，ヴェランダ規則は居住空 間
を増やすことになるので望ましいと報 告 し て いる。
11）
郭中端 ・
堀込憲二『
中国人の街 作 り 』 1984 年，111頁。
亘2）
台湾公医 会 『
台 湾 の衛生状態』 1910 年，174 頁。
13 ）
羅 剛 『劉公銘伝年 請初稿第二冊』1983 年，20 〜21 頁。
14 ）
臨時台湾土地調査局 『台 湾旧慣制度調査一斑 』1991年，
174 頁。その後，日本植 民地時 代 に亭仔脚 の連続歩廊と
しての規則が整備さ れ た （
黄 俊 銘・
泉田 「台 湾 に お け る
劉銘伝の街並 み 開発及び亭仔脚 の法令化につい て 中国
南部の都 市 住 居 の形成に関する研究（
1）
」日本 建 築 学 会 大
会学術講演梗概 集，1990 年10 月，5〜6頁）。
15 ）
広東警察庁 『広東省城 警察庁現行 取締 建築章程及施 行
規則』，1912 年。全 文 は 37 条 か ら な る 。
16 ）
写真資料を見 るとその後連 続歩廊が建 設 されていっ
たが，1922 年頃 か らいくっかの街路では禁 止 さ れ たり，
取 り壊 しが 命 じ られた。詳しくは，拙 稿 「20 世紀初期 の
広 州 における店舗住宅 の連 続 アーケードの変遷 中国南
部の都 市 住居の形 成 に関す る 研究（
3）
」 （日本建築学 会 大
会学術講 演梗概集，1991 年9月，1075 〜76 頁）参照。
17 ）
台湾総督府 官房調査課 r新汕頭」19277 年、9〜10 頁。
18 ）
富田芳 郎 r南支那の聚落』1943 年t387 〜388 頁。
19 ）
BunCllt Chulasai ，
Mytb of ShophDusc ，
Mimar 28 ，
1985 ， pp ．21 −
26 ．
〔1993 年5月26 日原 稿受理，1994 年2月8日採用 決 定 〕
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SumARY
1, PREFACE
The townscape in Singapore and Ma].aysia is characterized by covered eontinuous walkway
along the street. These walkways were first realized by T.S,
Raffles
in
1822 in
the town
planning of Singapore, They were then i'ntroduced throughout the Straits Settlements and
the Federated Malay States during the British'rulel. Covered walkways are also seen. in
South Chinese cities,where they have been thought
te
be of Chtnese origin. This article is
a typological and historical study of the origin and development of the cbvered walkway.
'
'
'
2,
Ktll(I
LIMA IN PllllAY
Sem,i-open spaces in front of,urban houses, whether roofed terraces, or covered
eontinuous walkaways, are generally called Kaki Lima･ tn Indonesia, Malaysia and
singapore2. Kali Lima, meaning "five foot" are w.idely understood to be roofed terraees or
covered continuous walkways about 1,5-3.0 meters ln
width. In
Singapore and Malaysla,
they are also called in English Five Foot.1!ax and in Chinese(IIukien) pmt
k k (Emaas
),
These two terms are elearly derived from Kaki Lima, as they have ne clear English or
Chinese meanings. The original form of Kaki Lima is obseure. But, roofcd terraccs must be
earlier than covered continuous walkway, because fermer is found ,in
the old Chi.nese
settlements such as Malacca, Pattani and others.
The word Kaki Lima has
probably been used at least $ince the mid-seventeenth eentury in
Batavia, as we find the following in
Nieuhoff.
'The whole building (The
Hall for
the Sale of Stuffs
and Cloths
ready made) is
of wood,
being divided into five walks ornvggltJ.g!ll ,
having shops on each side; and as many doors
from without, which are kept open day and night, beeause the shopkeepers don't put up
,3
their commodities till very late at night.
Five Walks {Fig.3)
did not refer to the width of an area, b,ut was the name of a speeific
space, that is, galleries. Nieuhoff probably mistranslated kaki inte walks, when he was
told the native name for galleries by a settler. At any rate, Kaki Lima in the ferm of
roofed terraces, having been common in this region as a protection from both rain and
sunshine for
commodities and consumers. It has
been particularly important for shophouses,
where Chinese often operated family business,
Kali Lima, bowever, were disliked by European colonial rulers, because they were
constructed in
various forms and ways, and so di'srupted
the regularity and uniformity of
colonial cities. So,
in
the early eighteenth century, a VOC governor of Batavia prohibited
Chinese settlers froru constructing
'BLgyggE[tEggp'.
T. S, Raffles apparently learned this
lesson, and established Singapbre town planning regulations for Singapore which provided
uniform covered continuous walkaways.
3. VERANDAH REGULATION IN IIONG KONG
Hong Kong, however, was occupied after twenty years from the Singapore town planning by
the Brittsh, "ho
developed the eity in
a different way. Because the coloiiial government at
first lssued no comprehensive town planning law,
Chinese settlers built their houses as
they wished, and Europeans felt thfeatened by the possibility of fire and diseases.
In 1856, the colonial government established the first building regulation, 'An
gt!!!l,!!aggg
rdinance for Build d N
',
but Chinese settlers continued to construct
verandahs projecting over public walkaways(Pboto 2). In 1878, the colonial government
decided to issue a
'p m
t dh R 1t ', whieh permitted house owners to construct
-152-
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verandahs over public walkaways, generally 2-3 meters in
width, if they met certain
requirements4. o. chadwieh, a sanitary engineer comntissioned to investigate the sanitary
and housing conditions of Hong Kong, supported the 'Verandah Regulation' becau$e lt woul.d
have allowed an increase in
living space in
the Chinese settlement5, Eventually, through
this different process, the townscape of Hong Kong came to resemb.i.e that of Singapore.
4, HENG-ZAI-JIAO IN TAIvrAN AND YU-JIAO-QI-LOU IN SOUTIIERN CIIINA
During the same per/Locl,
roofed wal,kawuy also appeared in
Taiwanese towns. In 1887, the
Ch'ing government of China appointed a new gevernor of Taiwan, who is
known to have
prometed various modernization projects. One of them was a town improvement project, which
was ainted at modernizing the townscape by obliging eaeh landowner to provide a certain
depth of !tlQpg:ZQ!=!/Lgg
Z J {gt]inm)
along the streets for a roofed walkaway6,
'
This kind of walkaway have not been common in
Taiwan before this project, aeeordi,.ng to
a report on 'Sanitary Condition of Taiwan' published in
19107. These walkaways, however,
was often obstrueted by residents who put commodities in them. After the Japanese oceupted
Taiwan, the gevernment ndded regulations in
order te make !I
Z J more usable.
As soon as the Chinese Republic established a new gevernment in Canton i.n 1912, the
Department of Police and Pub].ie
Works issued
"Buildlng
Regulat.tons
and By].aws",
which
obligated each house owner to provide Yu-Jiao- i-Lou{
Epmeeec
),
a roofed walkaway eight
feet wide, along the street, aRd to malnta.in them without any nuisanee to passers-by.
During the 1920s, simllar town planning regulations were introduced by the Swatow, Chang
Chou and Amoy municipal governments for their own urban modernizattons.
5.
CONCLUSION
The roofed terrace, called Kaki Lima, Heng-Zai-Jiao or Yu-Jiao-Qi-Lou is
a feaCure of
vernaeular houses in
Seutheast Asia and South China which proteets people and goods from
rain and sunshine, The covered continuous walkway was introduced into British colonies en
Malaya to give regularity and uniformtty to native townscapes, and into Bangkok, Tokyo,
Canton, Amoy, Chiang Chow and Tatwanese cities by independent governments durj.ng
the
period of modernization in order to change the trudltional townscape.
ACKNOWLEDGI[ENT
I express my gratitude to Prof, Ezrin Arbi, of Universi.ti Teknologi Malaysia, Prof. Kato
Tsuyoshi of Kyoto University and Prof. Fukami Sumio of Setsunan University for their
advises, and to the Japun Foundation its research grant.
NOTES1.Izumida,
H., "Singapora Town Plann.ing and Shophouse: Part 1 A Study on Colonial Cities
and Architecture in Southeast Asj.a",
Transactions ef JIA, vol.413, 1990, pp.161-172.
2,Archj.ves and Oral Htstory Department of Singapore, Five ll!F-g!}Ju!axt
W .[1'raders(ll.1.parg..).,
SInga-
pore, 1985; Schoeh. Lilli N., Kaki.LL"ta.and."S,
treethawkers in .lndenesia,
Jakarta, 1986.
3.Meuhoff, Johann,
Travels",a.ggdm!g)taggE
V s.
Lt
.East.Imdies, ].987 rp., p.277.
4,]Iong Kong Colonial Government, "Verandah Regulation", British Par]iamentar .tPtapggs-LtH/gpg
!K!gug,
1978.
5."Mr, Chadwich's RepDrt on Sanitary Condition of Hong Kong", British ?.a!!tL!gpeu!glxt
ILt'gRg!EL;..HLgpg.LKLggg, 1978.
6.La Gyo ed., Letters frem Governor Ryu, 1983, p.21-22.
'
7,Taiwan
Institute of Public Health,pmt
t
Condttion of..Taiwan, 1910, p.174.
'
-153-
NII-Electronic