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The Joint Survey Group about the Tsunami Evacuation of the Great East Japan Earthquake and Field Study by the Sub-group charged with Yamada and Ishinomaki —Analysis on Data Characteristics—

Authors:

Abstract

The preceding paper reported the survey structure of the Tsunami Evacuation Joint Survey Group for the Great East Japan Earthquake and the tsunamis vulnerable features of Yamada of Iwate prefecture and Ishinomaki of Miyagi prefecture. As the continued report, this paper introduces the analysis on the characters of the evacuees' behavior data collected by the team for Yamada and Ishinomaki of the Tsunami Evacuation Joint Survey Group for the Great East Japan Earthquake, comparing it with the same kind of data sets collected by the Ministry of Land, Infrastructure, Transportation and Tourism and the Cabinet Office. Through the analysis, it was concluded that the data collected by the team represented the general feature of the tsunami evacuation well and could be improved by the correction using age and sex distribution. It is expected that this report combined with the preceding report will provide the useful information to the users of the collected data and also provide the experience to the researchers who may do the same kind of the field survey in future.
東日本大震災津波避難合同調査団の形成と山田町・石巻市担当チーム
による調査結果 -データ特性分析-
後藤洋三
1)
、池田浩敬
2)
、市古太郎
3)
、小川雄二郎
4)
北浦勝
5)
、佐藤誠一
6)
、鈴木光
7)
、田中努
8)
、仲村成貴
9)
三上卓
10)
、村上ひとみ
11)
、柳原純夫
12)
、山本一敏
13)
1) 正会員 東京大学地震研究所、外来研究員 博士(工学)
e-mail : gotoyozo@mti.biglobe.ne.jp
2) 正会員 常葉大学大学院、教授 博士(都市科学)
e-mail : ikeda_h@fj.tokoha-u.ac.jp
3) 正会員 首都大学東京大学院、准教授、博士(都市科学)
e-mail : ichiko-taro@tmu.ac.jp
4) 正会員 東京大学生産技術研究所、客員研究員 博士(工学)
e-mail : ogawayujiro@hotmail.com
5) 正会員 金沢職人大学校、理事長兼学校長 博士(工学)
e-mail : kitaura@isc.ge.kanazawa-u.ac.jp
6) 正会員 日本工営地盤環境部、次長 修士(工学)
e-mail : a5016@n-koei.co.jp
7) 正会員 消防科学総合センター、防災図上訓練指導員
e-mail : hikari-s@nifty.com
8) 法人会員 エイト日本技術開発防災保全事業部、部門長 博士(工学)
e-mail : tanaka-tsu@ej-hds.co.jp
9) 正会員 日本大学理工学部、准教授 博士(工学)
e-mail : masa@civil.cst.nihon-u.ac.jp
10) 正会員 徳島大学環境防災研究センター、特任准教授 博士(工学)
e-mail :mikami.taku@tokushima-u.ac.jp
11) 正会員 山口大学大学院、准教授 博士(工学)
e-mail : hitomim@yamaguchi-u.ac.jp
12) 正会員 奥村組東電柏崎工事事務所、副所長
e-mail : sumio.yanagihara@okumuragumi.jp
13) 正会員 パシフィックコンサルタンツ交通基盤事業本部、次長 修士(工学)
e-mail : Kazutoshi.Yamamoto@tk.pacific.co.jp
要 約
本報告の前報に当たる調査概要では東日本大震災津波避難合同調査団の結成の経緯と中核
となって活動した山田町・石巻市担当チームの調査状況ならびに避難行動の背景に関わる
事象の調査結果を報告した。この報告では調査された避難行動データの特性を政府機関に
よる類似の調査結果と比較しながら分析した結果を述べる。分析の結果、避難行動の定性
的理解を覆す程ではないが調査方法の違いやサンプルの偏りにより結果に差が出る項目が
あること、調査データの有効利用のためには個人情報保護を前提にサンプルごとの年齢、
性別、地域などを併せて公表すべきであることが分かった。前報の調査概要と併せて本報
が山田町・石巻市担当チームの調査データの適切な利用に役立つことを期待している。
キーワード: 東日本大震災、津波避難、実態調査、山田町、石巻市
- 118 -
日本地震工学会論文集 第15巻、第5号(特集号)、2015
1.まえがき
津波からの住民の避難行動については大きな津波災害が発生するたびに東京大学大学院情報学環
(前;東京大学社会情報研究所)廣井研究室が調査してきており、特に1983年日本海中部地震と1993年
北海道南西沖地震ならびに2003年十勝沖地震については、住民へのアンケートやヒヤリングを行い避難
に関わる心理や行動を詳細に分析した結果が報告されている
1)
東日本大震災においては国の行政機関、
研究機関、民間の調査機関、多くの研究者のグループが調査を行った。その主要なものを付録1 (a), (b) ,
(c) に示す。この他にも自治体や研究者グループが個別的に行った調査などで付録1に収録できていな
い調査が相当数有ると推測される。
本報告の前報に当たる調査概要
2)
では東日本大震災津波避難合同調査団結成の経緯と著者等が参画し
た山田町・石巻市調査担当チームの調査状況ならびに山田町と石巻市の津波避難に関わる背景的事象の
調査結果を報告した。このデータ特性分析編では山田町・石巻市調査担当チーム(以下、合同調査(山
田・石巻)と略す)が収集したデータの特性を分析し他の主要な調査結果と比較した結果を示す。著者
等が津波避難の分析をさらに進めるために、また他の研究者・技術者に公開データを有効に利用してい
ただくために、データの特性を整理し明示することがこの報告の目的である。
本報告では、2で合同調査(山田石巻)が実施したヒヤリング(面談)とポスティング(郵送回収)
による住民の避難行動調査データの基本的な特性を述べ、3章で調査方法と調査地域による違いに注目
しながら1次的に分析した結果を他の主要な調査結果と比較しながら報告する。4章では、特異な傾向を
示す地域のデータについて考察し、5章で全体の考察と結論を述べる。
なお、著者等は調査データを防災・減災に急ぎ役立てる観点から各自が先行して解析を進めており、
学術論文として発表した主要なものを参考文献3)~18)に示した。また、それらの内容を要約して付録
2に示した。
2.合同調査(山田・石巻)のデータの基本特性
2.1 山田町でのヒヤリング調査の概要と回答者の特性
(1) ヒヤリング方法
ヒヤリング項目を記載した用紙を用意し調査員が質問して聞き出した回答を記入していく半構造化イ
ンタビュー法を取ることとしたが、状況によっては被災者の話を聞くことを優先し、その話の流れから
調査員が判断して回答欄を埋めることも可とした。そのヒヤリング項目を付録 3示している。
(2) サンプリング方法とサンプル数
山田町でヒヤリングを開始した時点で仮設住宅は建設中であった。そのため、大部分のヒヤリングは
避難所で実施した。山田町がリスト化していた避難所は約 30 箇所有ったが、合同調査(山田・石巻)
動員できる人数の制約からその全てで調査することは不可能であった。そのため、地域性を考慮しつつ
比較的被災者の多い 15 箇所の避難所を選定した。
調査を行う際は各避難所の管理者に最初に了解を得た上で、調査メンバーが無理なく協力を依頼でき
る被災者を選んでヒヤリングを行った。依頼するに当たって年齢と性別に偏りが出ないよう配慮するこ
とを調査メンバー間で申し合わせたが、それぞれの避難所には心身ともに限界に近い被災者も滞在して
いて、(3)で 述べる偏りが生じることは避けられなかった。
主要な聴取項目への回答が揃ったヒヤリング数は 214 名( ヒヤリング当時の避難所在籍者数の約 10%)、
その内訳は避難所で 158 名、仮設住宅で 44 5団地)その他街頭、店舗、自宅などで 12 名であった。
(3) 回答者の特性
a) 年齢と性別
回答者の年齢や性別が偏らないようにすることが望ましいが、避難所では被災者への配慮が必要であ
り、調査側の都合で回答者を自由に選択することは出来なかった。回答者の性別年齢度数比分布(以下、
性別年齢分布)を山田町の全人口の国勢調査結果と比較したものが図1である。回答者は全体的に女性が
多く、年齢的には男性の60代と女性の50代、70代が多い。
- 119 -
b) 回答者の状態
ヒヤリング回答者は生存者であり、インタビュ
ーに応じられる心身ともに状態のよい人たちで
ある。さらに、調査メンバーが避難所に入った6
中頃の避難所在籍数は2,135名(615日山田町発
表値)で、全壊戸数から見て被災者の半数近くは
すでに避難所を出ていたと見なす必要がある。し
たがって、何らかの理由で避難所に留まらざるを
得ない人達の中の比較的健康な人達にヒヤリン
グしたことになる。
c) 回答者の職業
回答者の職業を国勢調査による山田町全人口
対象のデータと比較した結果が表1である。回答
数を職業別に分けると一桁になる項目があるた
め比較の精度は落ちるが、回答者には漁師が多
い。漁師は海岸近くに住むことが多いため津波で
家を失う割合が高くなることと、漁業の再開を期
すため町を離れない事情があると考えられる。
師は津波警報が出てもしばらくは船の沖出しや
舫いの強化のため浜に近づくことが多いので、
師の多い集落の避難行動を分析する際には区分
して集計するなどの注意が必要である。
(4) 回答者の年齢、性別、職業の関連性
回答者の年齢、性別、職業の独立性を検討する
ためχ2検定を行った。ここに、帰無仮説の棄却は
有意水準5%で判断する。各比較項目で期待度数5
以上となるよう階数を調整するが、これらの条件
を満していない場合は特記する。
年齢は細分すると期待度数が過小になるため
1549才、5069才、7089才の3階数とした。
区分の考え方は、前報の調査概要の図12で明らかなように、
1549才は被災率(死者行方不明者/人口)
が低い世代、5069才は平均的な被災率の世代、7089才は被災率の高い世代であることにある。この
データセットを以下、3年齢と表記する。
職業は、漁師、無職(専業主婦を含む)、その他の職種の3階数とした。このデータセットを以下、
3職業と表記する。
a) 性別と3年齢の関係
χ2検定の結果p値=0.393で、回答者の年齢と性別に明瞭な関連性はないと見なされる。
b) 性別と3職業の関係
p値=0.000で関連性がある。女性に無職が多く男性には有職者が多いことから自明の結果である。
c) 3年齢と3職業の関係
p=0.000で関連性がある。表2が年齢と職業のクロス集計表である。1049才で有職率が高いのは当
然であるが、漁師の割合を見ると49才以下が極端に少なく、高齢化が進んでいることがわかる。
2.2 石巻市におけるヒヤリング調査、ポスティング調査ならびに回答者の特性
(1) ヒヤリング方法とサンプリング方法およびサンプル数
山田町の場合と同様に半構造化インタビュー法を取ることとした。ヒヤリング項目も基本は同じとし
たが、緊急地震速報を聞いたか否かの設問と自転車避難についての設問を加えた。前者は山田町で津波
警報との混同が多かったことに対応したものであり、後者は比較的平坦な石巻市本庁地区(調査概要
2)
表2
3
年齢と
3
職業のクロス集計表
年齢 漁師 他職種
無職 サンプル数
1549 3.8% 67.9% 28.3% 53
5069 20.4% 33.3% 46.2% 93
7089 15.6% 15.6% 68.8% 64
サンプル数
31 77 102 210
パーセントは行方向集計値に対する値
1 回答者と山田町全体の職業比較
回答数
漁師
農業
商店
勤め人
その他
無職
回答
210
14.8% 1.0% 3.3% 20.0% 12.4% 48.5%
山田町
全体
16,300 6.9% 2.6% 7.4% 27.4% 6.9% 48.9%
職業無解答の方がいるため回答者の総数とは合わない
図1 回答者(男性 90 名、女性 122 名)と山田
町全人口の性別年齢分布の比較
0
0.1
0.2
10- 20- 30- 40- 50- 60- 70- 80-
国勢調査男性 国勢調査女性
ヒヤリング男性 ヒヤリング女性
年代/合計
- 120 -
参照)では自転車が避難方法の選択肢の一つと考えられるからである。一方、気象庁の津波警報への信
頼度の設問は津波への関心が薄かった本庁地区では有意な回答を得られないと考え削除した。
石巻市で調査を始めた時点( 2011 10 月) で被災者の仮設住宅への入居が完了していたので、ヒヤリ
ングは仮設住宅を戸別訪問して行った。ただし、石巻市の本庁地区に限っても戸数が多く4,302 戸;石
巻市 2011 11 月提供資料)、聞き役に徹した調査を行うと 1 戸当たり 30 分以上話し込むことが珍しく
ないため、悉皆的にヒヤリングすることは不可能であった。そこで、本庁地区の中で被災率が高かった
門脇町・南浜町と松原町・長浜町の住民が比較的集中して入居している 6カ所の仮設住宅団地(向陽、
蛇田中央、大橋、渡波第1、渡波第 2、万石浦 960 )を選び、そこで全戸をローラ訪問してヒヤ
リングを行った。ただし、主として土日の昼間に訪問したため不在が少なからずあり、協力が得られな
いお宅(10%以下、多数の調査メンバーが参加したため正確には不明)もあって全戸数に対するサンプ
ル率は 36%341/960であった。その中で、門脇町・南浜町の被災者が多数入居している向陽団地につ
いては一度不在だった所を再訪問しておりサンプル率は 72%99/137)に達した。
(2) ポスティング調査方法とサンプリング方法並びに回収率
昼間に仮設住宅を訪問すると年配の女性にヒヤリングする機会が多くなって対象者の性別と年齢に偏
りが生じた。そこで、著者等のヒヤリング調査に対して好意的に対応して下さる被災者が多かったこと
から非対面でも調査可能と判断し、質問と回答用紙を仮設住宅のポストに全戸配布し回答を受取人払い
で郵送にしてもらう調査(以下、ポスティング調査)を行った。ヒヤリング調査の場合と同じ主旨の協
力願い書を併せて配布した。ただし、仮設団地が各地に分散し手数が限られていたことから本庁地区内
の戸数 30 以上の仮設団地に配布した。戸数 30 以上の仮設団地の戸数合計は 3,682 戸(本庁地区の全戸
数は 4,302 戸;石巻市提供資料)であるが、ヒヤリング済みの所を除いたので配布数は約 3,300 であっ
た。返送されてきた回答は 797 通、配布戸数に対する回収率は 23%であった。
ポスティング調査の設問はヒヤリングの設問と基本は同じであるが、避難経路を記述してもらったほ
か、防災無線が聞こえたかどうかの設問とハザードマップの表紙の縮小コピーを設問中に挿入してそれ
を見たかどうかの設問を加えた。一方、ヒヤリングで有意な回答を得られないことが多かった津波の目
撃についての設問、明治・昭和三陸津波の体験の伝承についての設問、自転車避難に関する設問、今後
の住まいについての設問は除いた。また、避難の定義を「敷地を離れて別の安全な場所に移動したか鉄
筋コンクリート建物の3階以上に上がった場合」と明確にし、一部の設問をわかりやすく整理しなおし
た。さらに、末尾に、亡くなられた方と行方不明になられた方の津波に襲われるまでの行動について情
報があれば記述してもらう設問と、他の地域や後世の人たちに伝えておきたい体験や教訓を自由に記述
してもらう欄を加えた。ポスティング調査の設問内容を付録4に示す。
(3) 回答者の特性
a) サンプル数と区分
被災当時の住所で区分した場合、石巻市の本庁地区の仮設住宅であっても本庁地区以外の被災者が入
居している場合があった。また住所が不明なデータもあり、その合計割合はヒヤリング調査で6.2%、ポ
スティング調査で12%であった。本庁地区のような平坦部と雄勝・牡鹿・北上などのリアス部では避難
の様相が異なると考えられるので、年齢、性別、住所の回答がそろっているデータからヒヤリング調査
における本庁地区のみのデータ314件)
ポスティング調査における本庁地区のみのデータ681件)
雄勝地区のみのデータ47件)で区分した3種のデータセットを作成した。ヒヤリング調査における雄勝
地区のデータとその他の地区のデータは少数であるので分析の対象から除外した。
b) 年齢と性別
2は本庁地区の回答者の性別年齢分布を石巻市本庁地区全人口の国勢調査19)による分布と比較した
ものである。ヒヤリング調査では在宅率が高い60才以上の女性が多く、男性も6070歳が多い。一方で
50歳以下の男性が特に少ない。ヒヤリングを主に土日の昼間に行ったので若い男性は外出していた様で
あった。一方、ポスティング調査では男女とも60歳前後の割合が高い。仮設住宅1戸につき1通の回答を
求めたため、家族の中で中心となる年代の人が回答するケースが多くなったためと思われる。
雄勝地区のポスティング調査回答者の性別年齢分布と雄勝地区全人口の性別年齢分布を比較して図3
示す。1の山田町の分布と比較すると、同じリアス部でも雄勝地区は山田町よりも高齢化が進んでいる
事が分かる。回答者の分布が年齢によって上下するのはサンプルが少ないためと思われる。
- 121 -
c) 回答者の偏りの可能性
ポスティング調査の場合、戸数30戸以
下の小規模な仮設住宅団地は人手と時間
の制約から除いている。また、ヒヤリン
グも大規模な仮設団地で行っている。石
巻市では戸数・場所とも不明であったが
障害者向けの比較的小規模な仮設住宅団
地が建設されているとのことであった。
そのため、重度な要支援者や障害者がい
る世帯が調査対象から外れている可能性があるので調査結果を利
用する際に注意か必要である。
また、ポスティング調査に答えるためには、回答者自身が質問票
を読み、回答を書入し、投函する事が要求される。そこでヒヤリン
グの回答者とは異なった属性を持つサンプルとなる可能性がある。
d) 回答者の職業
石巻市本庁地区回答者の職業を国勢調査による本庁地区のデー
タと比較した結果が表 3である。商店の分類は国勢調査と著者等の
調査で異なっている可能性がある。本庁地区の回答者であっても漁
師の割合が多い傾向が見られる。本庁地区にも漁師が多い牡鹿半島
の石巻湾側や万石浦周辺が含まれており、海岸近くに住んでいて家
を失い仮設住宅に入居している漁師がいるためと推定される。一
方、その他と無職の項目でヒヤリングとポスティングの差が大きい
ことが注目される。ヒヤリング回答者は昼間の在宅者であるのに対
しポスティング回答者はそうとは限らない事から来る違いに加え、
ポスティングでは落ち着いて回答することになるので自らが何ら
かの仕事をしていると思い至る場合があるとも推測される。雄勝地
区の職業分布の国勢調査データとの比較については 4章で述べる。
(4) 回答者の年齢、性別、職業の関連性
山田町の場合と同様に石巻市の場合も回答者の年齢、性別、職業
の独立性を検討するためにχ2検定を行った。
ヒヤリング調査の本庁、ポスティング調査の本庁と雄勝のクロス
集計結果を表 4にまとめて示す。ポスティング調査本庁は p=0.000
2 本庁地区の回答者と本庁地区全人口の性
別年齢分布
0
0.1
0.2
10- 20- 30- 40- 50- 60- 70- 80-
ヒヤリング男性 ヒヤリング女性
ポスティング男性 ポスティング女性
全人口男性 全人口女性
図 3 雄勝地区の回答者と雄勝地区全人口の性
別年齢・分布
0
0.1
0.2
10- 20- 30- 40- 50- 60- 70- 80-
ポスティング男性 ポスティング女性
全人口男性 全人口女性
表4性
3
年齢のクロス集計
ヒヤリング 本庁 (p=0.270)
男性 女性 合計
15-49 19 51 70
50-69 40 81 121
70- 46 77 123
合計 106 205 314
ポスティング 本庁 (p=0.000)
女性
合計
15-49 70 141 212
50-69 149 170 319
70- 76 75 151
合計 295 386 681
ポスティング 雄勝 (p=0.790)*
男性 女性 合計
15-49 5 9 14
50-69 7 13 20
70- 6 7 13
合計 18 29 47
*雄勝はデータ数が少ないため、1
セル(16.7%)で期待度数が 5未満、
最小期待度数は 4.98
3 本庁地区回答者の職業
回答数
漁師
農業
商店
勤め人
その他
無職
ヒヤリング本
庁回答者 313
3.8% 0 3.5% 29.7% 6.1% 56.9%
ポスティング
本庁回答者
673
2.8% 0.4% 6.2% 30.2% 19.0% 41.3%
国勢調査石巻
市本庁地区
96,100 1.7% 0.8% 9.4% 33.0% 6.9% 48.1%
職業無解答の方がいるため回答者の総数とは合わない
年代/合計
年代/合計
- 122 -
で関連性がある。サンプルの年齢階数が上がると男性の割合が多くなり、女性のそれは逆傾向にあるた
めである。年齢と性別を独立に扱って補正を掛る事は適切でないことになる。
2.3 回答者の年齢と性別による偏りの補正
(1) 補正方法と補正値
2.2.で述べたように山田町ならびに石巻市とも回答者と全人口の年齢分布と性別分布にずれが見られ
る。回答者の傾向から山田町あるいは石巻市における全体的な傾向を見ようとする場合、年齢と性別で
回答を補正することが望ましい。この報告では3年齢と性別の組み合わせ計6コマの分布値について全人
口のそれを回答者のそれで割った値を補正値とする。そして、個々の回答に年齢と性別の該当するコマ
の補正値をかけて重み付けをしてから集計することにより、集計結果の年齢、性別分布を国勢調査の分
布に相似させる方法をとる。厳密には、年齢と性別が同じコマに入る人の特性は回答者の当該するコマ
に入る人の特性と同じだと仮定することになり、1コマ辺りの回答者数が少なく真値からのズレが大き
い場合は誤差が大きくなる可能性もある方法である。
山田町について上述の方法で補正係数を求めたものが表5である。石巻市については、本庁地区のヒヤ
リング調査とポスティング調査、雄勝地区のポスティング調査の3種のデータセットに適用する補正係
数を求めた。表67がその結果である。3章で述べる分析では全てにこれらの補正値を適用して集計し
た。
(2) 補正の効果の検証
8がヒヤリングあるいはポスティングで回答された就業割合を年齢と性別で補正する前と後で比較
したものである。補正後のサンプル数に端数が出ているのは重み付け加算をしたためである。補正前の
本庁ヒヤリングで無職の割合が高いのは、昼間に仮設住宅を訪問すると高齢の女性に面談することが多
くなるためであり、補正により本庁ポスティングの無職との差は縮小することがわかる。山田町と雄勝
地区の漁師の割合はサンプル数が少ないので誤差が大きくなっていると考えることができる。総合して、
合同調査(山田石巻)のデータを使っ
て分析を行う場合に回答 1件につき回
答者の年齢と性別に応じて表 57の補
正係数をかけて集計する事が提案され
る。
ただし、補正後の本庁の無職が 41.4%
もしくは 41.9%であるのに対し、3
示すように、国勢調査から15~64 才人
口-15 歳以上就業者数)/(1564 才人
)で無職の割合を求めた値 48.1%とは
明らかな差がある。無職の割合は母数
とする人口の取り方により変わるほ
か、避難の調査に回答する際の「就業」
の認識と国勢調査に申告する際の「就
業」にずれがある可能性もある。母数と
区分の定義が関わる問題なので補正を
しても比較できる値は求まらない。
(3) 調査方法が結果に及ぼす影響
9は津波が起きた時の行動を家族間
で事前に話し合っていたかどうかを質
問した結果を補正の前後で比較したも
のである。中間の「どうするかまでは決
めていなかった」の項目に注目すると補
正後もポスティングとヒヤリングで大
きな差があり縮小していない。
5 山田町ヒヤリング調査データに適用する
年齢と性別による補正係数
年齢
山田町全人口
山田町ヒヤリング調査
人口
比率 a
回答者数
比率 b
補正係数 a/b
1549 3,086 0.193 22 0.104 1.86
5069 2,752 0.172 45 0.212 0.811
7089 1,693 0.106 23 0.108 0.976
1549 3,018 0.188 31 0.146 1.29
5069 3,003 0.188 48 0.226 0.829
7089 2,439 0.153 43 0.203 0.752
6 雄勝地区ポスティング調査データに適用する
年齢と性別による補正係数
年齢
雄勝全人口 雄勝ポスティング調査
人口
比率 a
回答者数
比率 b
補正係数 a/b
1549 491 0.136 5 0.106 1.28
5069 706 0.190 7 0.150 1.28
7089 474 0.132 6 0.128 1.03
1549 484 0.134 9 0.191 0.700
5069 722 0.200 13 0.277 0.723
7089 725 0.201 7 0.149 1.35
- 123 -
「あなたは家族で津波について話し合ったことはありますか?」と言う質問に対し回答の選択肢が「話
し合っていたか」と「どうするか決めていたか」という二層の回答を並列で要求したため選択に幅が出
てしまい、回答者が自分で記入するポスティングでは中間が選ばれ、質問者が回答者の話を聞いて答え
を記入するヒヤリングでは白黒明白な両側の回答が選ばれる傾向が現れたものと思われる。
(4) 雄勝地区のデータに関する考察
9「ほとんど、あるいは全く話したことがない」の項目に注目すると山田町の値が小さく、雄勝地
区の値も補正によってポスティング調査による本庁地区の値より小さくなる。「避難先連絡方法を決め
ていた」の項目についても山田町の値が大きく、雄勝地区の値は本庁地区のポスティング調査の値より
大きいので、リアス地区で津波への警戒心が高かった事を伺わせるデータとなっている。しかし、雄勝
地区の値が山田町の値ほどに明確な傾向を示していないことに疑問が残る。
雄勝地区のデータについて4章で改めて述べるが、サンプル数が少ないこともあるため参考値と見な
しておく必要がある。
7 本庁地区ヒヤリング・ポスティング調査データに適用する年齢と性別による補正係数
年齢 本庁全人口 本庁ポスティング調査 本庁ヒヤリング調査
人口
比率 a
回答者数
比率 b1
補正係数 a/b1
回答者数
比率 b2
補正係数 a/b2
1549 22,627 0.235 70 0.103 2.29 19 0.0605 3.89
5069 15,302 0.159 149 0.218 0.727 40 0.127 1.25
7089 7,943 0.0826 76 0.112 0.740 46 0.146 0.564
1549 22,293 0.232 141 0.207 1.125 51 0.162 1.43
5069 16,403 0.171 170 0.250 0.683 81 0.258 0.661
7089 11,606 0.121 75 0.110 1.10 77 0.245 0.492
表8
3
職業の補正前と補正後の比較
補正前 補正後
漁師 他職種
無職 サンプル数
漁師 他職種
無職 サンプル数
本庁ヒヤリング 3.8% 39.3% 56.9% 313 3.6% 54.5% 41.9% 313.6
本庁ポスティング
2.8% 55.9% 41.3% 673 2.7% 55.9% 41.4% 673.1
雄勝ポスティング
21% 40% 39% 47 23% 40% 37% 47
山田ヒヤリング 14.8% 36.7% 48.6% 210 13.5% 43.4% 43.0% 210.5
パーセントは行方向集計値に対する値、雄勝はサンプル数が少ないため 2 桁で示す。
サンプル数は無解答の方を除いているため回答者総数より少なくなっている。
9 3.11 大津波発生以前に家族内で津波発生時の対処を話し合っていた割合の補の比較
補正前 補正後
話し合い避
難先連絡方
法を決めて
いた
どうするか
までは決め
ていなかっ
ほとんど or
全く話した
ことがない
サンプル
話し合い避
難先連絡方
法を決めて
いた
どうするか
までは決め
ていなかっ
ほとんど or
全く話した
ことがない
サンプル
本庁ヒヤリング 35.0% 9.2% 55.8% 283 32.6% 8.4% 58.9% 282.4
本庁ポスティング
20.5% 43.7% 35.8% 673 21.1% 41.5% 37.5% 675
雄勝ポスティング
23% 40% 36% 47 23% 41% 35% 47
山田ヒヤリング 59.6% 13.8% 26.6% 188 58.7% 13.8% 27.5% 190.1
パーセントは行方向集計値に対する値、雄勝はサンプル数が少ないため 2 桁で示す。
- 124 -
3.調査データの分析
合同調査(山田・石巻)の主要な調査項目のデータについて1次的な分析を行い、山田町、石巻市雄
勝地区、同本庁地区の地域特性とヒヤリング、ポスティングの調査方法の違いの影響を検討した。比較
データとして、国土交通省が実施した復興支援調査20)(以下、復興支援調査)ならびに内閣府中央防災
会議防災対策推進検討津波避難対策検討ワーキンググループの調査21)(以下、内閣府調査)の結果を併
せて示す。
3.1 比較した調査の概要、データの性別年齢分布、自宅の被災程度
(1) 復興支援調査
青森県から千葉県に至る沿岸部の各被災自治体で調査票を使ったヒヤリング調査が行われている。結
果は東京大学空間情報科学研究センターが管理する復興支援アーカイブス22)において行政目的・研究目
的に利用する場合に限り登録制で公開されている。ここでは、そのアーカイブスから自宅が当該地区内
にあって全壊(流失を含む)したと回答され、かつ性別と年齢が記載されているデータを抽出して集計
した。全壊としたのは、合同調査(山田・石巻)のサンプルが自宅に住めないために避難所あるいは仮
設住宅に滞在していた人達を母集団としているので、母集団の被災程度を近似させるためである。また、
性別と年齢が記載されているデータに限ったのは2.3で述べた方法で補正をかけるためである。
山田町、石巻市本庁地区、同雄勝地区の自宅全壊データの年齢と性別分布を国勢調査データと比較し
た結果を図456に示す。6の山田町のデータの分布は国勢調査の分布と比較的良く合っている。
(2) 内閣府調査
岩手、宮城、福島の沿岸市町村の津波被災域(原発事故影響域を除く)の住民を無作為に抽出し、訪
問して協力が得られた場合に調査票を配布し後日回収する訪問留置方式で11,400人の回答を得ている
結果は内閣府のHPで公開されているが、集計値の公開であるので、引用に当たって自宅の被災程度によ
るデータの絞り込みや性別と年齢分布による補正は行えない。
内閣府のHPには集計値についての年齢分布と男女比が示されている。そこで、2010年の国勢調査から
図4 国勢調査と復興支援調査(石巻市本庁) 図5 国勢調査と復興支援調査(石巻市雄勝)
図6 国勢調査と復興支援調査(山田町)
国勢調査
年代/合計
復興支援調査
7 国勢調査と内閣府調査
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
10203040506070
国勢調査
内閣府調査
年代
/
合計
国勢調査
復興支援調査
年代/合計
国勢調査
年代/合計
復興支援調査
- 125 -
岩手、宮城、福島の沿岸市町村(仙台市の泉区と青葉区を除く)の年齢別人口を合計して性別年齢分布
を作成し図7に比較した。男女比については国勢調査の同地域合計の男性48.4%:女 51.6%に対し、内閣
府調査は男性41.4%:女性58.6%であった。津波による自宅被災程度の集計値は全壊が59.7%であった。
3.2 地震発生時に自宅に居た人並びに帰宅した人
合同調査(山田・石巻)のヒヤリング調査とポスティング調査のデータについて、地震発生時(2011
3111446分頃)に居た場所を自宅(自宅が職場を含む)職場、その他に3区分した割合と、地震
発生時には自宅にいなかったが津波来襲までに自宅に戻った人の割合を併せて表10示した。比較の対
象として、復興支援調査と内閣府調査の結果を表11と表12に示した。
各調査方法によって値がややばらつくが、自宅にいた人と外出先から自宅にもどった人の合計は石巻
市本庁地区でおよそ70%、山田町と雄勝地区でおよそ80%であった。山田町と雄勝地区で自宅に戻る人
がやや多いのは、リアス部で職住接近の多いことが要因の一つと推定される、また、高齢化が進んで要
援護の家族が自宅に居る場合が多いことも考えられる。
これらの値に死者行方不明者は含まれていない。死者行方不明者については、浸水域人口比で山田町
6.5%石巻市本庁地区が2.3%であり、その大部分が家屋全壊域で発生したと仮定して家屋全壊域人口
比を求めると7.4%5.8%となる。三上は死者行方不明者の1/22/3は自宅に留まっていたか自宅に帰る
途中の人達であったとするデータ12)を求めているので、それらを掛け合わせると3~5%となる。この値を
加算すると、津波到来まで一時でも自宅にいた人は平野部で人口の70~75%リアス部で80~85%となる。
3.3 地震により大津波の襲来を予測したか
13は地震が発生して揺れを感じたときに大津波の来襲を予測したかどうかを設問した結果である。
設問内容がやや異なるが復興支援調査の結果も併せて示した。また、内閣府調査の結果を表14に示した。
合同調査(山田・石巻)の結果では、津波に対する警戒心が高いと推測されるリアス部で「来ると思
った」が高くなる傾向が見られる。また、2.3(3)で既に述べたように、ポスティングの方が中間的な回答
が高くなる傾向が見られる。復興支援調査の雄勝は特異な傾向を示しているが、理由は不明である。
3.4 どこから大津波警報を収受したか
大津波警報の発令を最初に聞いた情報源の調査結果が表15である。防災行政無線が最も多く、次いで
ラジオ、家族・近所の人・町内会となる。山田町も石巻市も地震後すぐに停電しているので、テレビで
情報を得たとする人の多くは車載のテレビや携帯端末のワンセグを見たものと思われる。ポスティング
では防災行政無線の割合が減りラジオの割合が大きくなる傾向が見られる。
10 合同調査(山田・石巻)地震発生時に居た場所と地震発生後外出先から帰宅した人の割合
自宅にいた( 自
宅が職場含む)
職場に居た
その他
サンプ
ル数
地震後直ぐ
に帰宅した
サンプル
自宅にいた+
帰宅
本庁ヒヤリング 48.3% 29.2% 22.5% 314.3 16.2% 314.2 64.5%
本庁ポスティング
49.4% 29.8% 20.9% 680.6 21.7% 656.7 71.1%
雄勝ポスティング
57% 29% 14% 47 28% 47 85%
山田ヒヤリング 56.5% 28.1% 15.5% 212.1 18.5% 211.9 75.0%
(補正後の値)、雄勝はサンプル数が少ないため 2 桁で示す。
11 復興支援調査:地震発生時に居た場所と地震発生後外出先から帰宅した人の割合
自宅 会社・学校
その他 サンプル数
地震後に帰
宅した サンプル数
自宅にいた
+帰宅
本庁 62.4% 15.2% 22.3% 1021.7 11.2% 1021.8 73.6%
雄勝 67.2% 14.1% 18.6% 111.0 12.9% 111.1 80.1%
山田 63.0% 15.9% 21.1% 231.0 17.8% 231.0 80.8%
(補正後の値)
- 126 -
復興支援調査と内閣府調査による情報源の調査結果を表16と表17に示す。複数回答可であったため合
同調査(山田・石巻)の結果と直接の比較は出来ないが、復興支援調査でも防災行政無線に次いでラジ
オが大きくなっている。内閣府調査ではカーテレビとカーラジオが区分されていない。その多くをラジ
オと見なすと、ラジオが2番目に大きくなる。なお、内閣府調査で行政機関・警察・消防の割合が比較的
多くなっていることが注目される。政府機関による訪問留め置き調査なので公的機関の情報に関心のあ
る人が比較的多く協力を了承し回答したのかもしれない。
表 12 内閣府調査地震発生時に居た場所と地震発生後外出先から帰宅した人の割合
自宅 会社・学校
その他 サンプル数
出先から自宅に戻った
サンプル数
自宅にいた+帰宅
56.0% 21.6% 22.4% 11,242 21.0% 10,707 77.0%
(回答者の地震時に居た県:岩手県 23.4%、宮城県 62.2%、福島県 14.4%
13 地震の揺れを感じて津波が来ると思ったか?
合同調査( 山田 ・石巻) 復興支援調査
大きな津波
が来ると思
った。
あのように大き
いのが来るとは
思わなかった
来ないだろ
う・津波は考
えなかった。
サンプル
必ず来る
来るかも
しれない
来ないだろ
う・津波は考
えなかった。
サンプル
本庁ヒヤリング 11.4% 38.3% 50.3% 310.4 本庁
50.3% 49.7% 1021.8
本庁ポスティング
16.8% 55.7% 27.6% 680.4
雄勝ポスティング
25% 50% 26% 47
雄勝
40.8% 59.3% 111.0
山田ヒヤリング 36.9% 44.0% 19.2% 209.1 山田
78.0% 22.1% 231.0
(補正後の値)
14 内閣府調査:地震の揺れを感じて津波が来ると思ったか?
津波が必ず来
津波が来るかも
しれない
津波は来ない
だろう
ほとんど考え
なかった
サンプル
岩手県 38.0% 29.2% 16.0% 15.4% 2,623
宮城県 26.8% 26.7% 14.7% 30.9% 6,947
福島県 18.5% 26.8% 11.4% 42.0% 1,592
15 調(山田・石巻):最初に大津波警報を収受した情報源
防災行政無線
(屋外・室内)
テレビ(ワン
セグを含む)
ラジオ
家族・近所の
人・町内会
行政機関・
警察・消防
その他 サンプル
本庁ヒヤリング 59.2% 6.3% 18.6% 12.4% 2.7% 0.7% 182.5
本庁ポスティング 36.1% 6.8% 26.1% 23.2% 6% 1.9% 597.6
雄勝ポスティング 38% 5.3% 32% 14% 11% 0% 44
山田ヒヤリング 52.5% 9.4% 26.4% 6.9% 3.2% 1.7% 120.3
(補正後の値)
表 16 復興支援調査:最初に大津波警報を収受した情報源(複数回答)
防災行政無線
(屋外・室内)
テレビ(ワン
セグを含む)
ラジオ 家族・近所の
人・町内会
行政機関・
警察・消防
その他 サンプル
本庁 62.5% 6.9% 26.4% 11.9% 6.3% 3.4% 708.1
雄勝 73.7% 1.0% 16.9% 6.4% 3.3% 4.4% 64.0
山田 56.3% 20.5% 28.9% 14.9% 16.5% 2.9% 106.9
(補正後の値)
- 127 -
3.5 避難するまで、あるいは津波に襲われるまで何をしていたか?
地震の発生から避難行動を取り始めるまで、あるいは避難せず津波に襲われるまで何をしていたかを
複数回答可で調査した結果が表18(a)
(b)である。参考として復興支援調査と内閣府調査の同主旨の設問
への回答を表19と表20に示した。
各調査によってばらつきが見られるが、ヒヤリング同士、ポスティング同士を比べると、「直ぐ避難し
た」「荷物をまとめた」「避難の手助け」の項目でリアス部の避難の心構えが高かったことが伺える。
同じリアス部でも山田町では海の様子を見に行く行為が多いのに対し雄勝地区はゼロである。防潮堤が
あって海が見えにくい山田町と傾斜地で見に行かなくても海が見える雄勝地区との違いが現れたと推定
される。
石巻市本庁のポスティング調査結果は訪問留置方式の内閣府調査と比較的よく似た結果となっている。
共に回答者が比較的落ち着いた状態で回答を自筆するので、回答動向が類似になった可能性がある。
17 内閣府調査:最初に大津波警報を収受した情報源(複数回答)
防災行政
無線
テレビ(ワ
ンセグ含)
ラジオ カーテレビ、
カーラジオ
家族や知
人・友人
周囲にい
た人から
市町村・警
察・消防
サンプ
ル数
岩手 60.4% 7.5% 16.9% 14.0% 7.1% 13.8% 22.6% 1,640
宮城 50.8% 9.3% 18.5% 19.0% 9.7% 15.2% 18.7% 4,270
福島 20.7% 25.0% 8.4% 13.6% 11.9% 15.6% 30.5% 899
18(a) 合同調査(山田・石巻):避難するまで、あるいは津波に襲われるまで何をしていたか(複数回答)
すぐ避難し
すぐ自宅に
戻った
家族を迎え
に行った
家族の帰り
を待った
海の様子を
見に行った
避難荷物を
まとめた
戸締まりを
した
本庁ヒヤリング 20.5% 16.2% 9.2% - 1.0% 30.3% 11.4%
本庁ポスティング
24.3% 22.5% 18.8% 6.4% 2.1% 29.8% -
雄勝ポスティング
30% 30% 8.9% 9.3% 0% 36% -
山田ヒヤリング 21.7% 18.5% 6.5% - 8.2% 40.4% 16.7%
(補正後の値)
18(b) 合同調査(山田・石巻):避難するまで、あるいは津波に襲われるまで何をしていたか(複数回答)
散らかったも
のを片付けた
電話やメール
をしていた
様子見たり近
所と話したり
近所の人に声
かけした
要介護者の避
難手助け
職場で避難
の準備 サンプル数
本庁ヒヤリング 21.1% 6.3% - 11.9% 6.1% - 257.8
本庁ポスティング
18.1% 22.9% 19.2% 16.8% 5.3% 5.9% 597.6
雄勝ポスティング
21% 23% 23% 21% 8.6% 6.1% 44
山田ヒヤリング 8.9% 5.3% - 2.3% 6.4% - 188.3
(
補正後の値
)
19 復興支援調査:避難するまで、あるいは津波に襲われるまで何をしていたか(複数回答)
すぐ避難し
すぐ自宅に
戻った
子供の安否
確認
避難の荷物を
まとめた
散らかったも
のの片付
電話メール
をした
周囲の人を
助けだした
サンプル数
本庁
17.0% 11.2% 6.4% 13.7% 10.3% 21.5% 3.5% 1020.0
雄勝
14.4% 12.9% 4.9% 12.5% 9.2% 18.6% 0.5% 111.1
山田
25.1% 17.8% 10.8% 20.2% 4.0% 8.0% 6.4% 120.3
(補正後の値)
- 128 -
3.6 避難のきっかけ
避難を決断するきっかけを一つあげてもらった結果が表21である。復興支援調査と内閣府調査は複数
回答可でおおよそ同じ設問を行っており、対応が可能な項目を表22と表23に示した。
合同調査(山田・石巻)の雄勝地区の結果はサンプル数が少ないので参考値と見なすと、大きな揺れ
を感じたことが避難を開始したもっとも大きな要因である。特に山田町の場合は揺れで避難を決めた割
合が高い。津波に対する住民の警戒心が高かったことに加え、表21の「
防災無線やラジオの呼びかけ
」と22
の「津波警報を聞いたから」が少ないことから、津波来襲までの防災行政無線の放送回数が3回と少なく切迫
性を欠いたことやラジオ電波の受信環境が良くない地域であることが影響した可能性が考えられる。
3.7 避難開始のタイミング
避難開始時間については、「用事をせず避難行動を起こすまでに要した時間」を集計した。そのため、
回答者が地震時に自宅にいた場合に限り、「家族を迎えに行く」「家族の帰りを待つ」「海の様子を見に行
く」要介護者の避難を手助けする」の用事後避難を除き、かつ「津波が来たのを見たり聞いたりしたから」
の切迫避難を除いて集計した。8に結果を示すが、雄勝地区のポスティングについてはこのように条件
を設定するとサンプル数が少なくなったので示していない。
21 合同調査(山田・石巻):避難した最も大きなきっかけは何か?
大きな揺れ
防災無線やラジ
オの呼びかけ
家族や近所の
人に促されて
周囲の人が避
難したので
津波が来るのを
見た、聞いた
勤務先の指
示、誘導
サンプル
本庁ヒヤリング 27.6% 23.2% 22.5% 5.2% 8.2% 8.2% 248.9
本庁ポスティング
28.4% 25.8% 15.2% 6.9% 11.2% 6.8% 508.3
雄勝ポスティング
28% 40% 12% 7.5% 7.0% 1.9% 37
山田ヒヤリング 52.6% 11.2% 12.9% 4.1 14.1% 1.4% 183.1
(補正後の値
22 復興支援調査:避難のきっかけは?(複数回答)
大きな揺れで津
波来ると思った
津波警報を
聞いたから
家族や知人
の勧め
市町村や消防
の勧め
津波が迫っ
てきたから
誘導された
ため
会社学校の
指示
サンプル
本庁
55.8% 17.2% 16.1% 0.6% 28.6% 3.5% 1.6% 711.7
雄勝
54.7% 12.8% 17.8% 3.4% 17.0% 2.5% 0% 105.5
山田
65.0% 2.6% 13.3% 0% 13.5% 0% 3.8% 60.9
補正後の値)
23 内閣府調査:最初に避難したきっかけは何か?(複数回答)
揺れから津
波来ると
大津波警報
を見聞き
家族が避
難しよう
周囲の人か
ら呼びかけ
役場、消防、警
察の呼びかけ
周囲の人が避
難したので
津波が来るの
を見た、聞いた
会社学校
の指示
サンプ
ル数
45.6% 27.9% 21.9% 27.0% 17.5% 16.8% 6.8% 5.8% 7,471
(回答者の地震時に居た場所:岩手県 23. 4%、宮城県 62. 2%、福島県 14. 4%
20 内閣府調査:避難するまで、あるいは津波に襲われるまで何をしていたか(複数回答)
何もせず
避難
出先から
帰宅
子供を迎え
に行く
親や親戚の様
子見に行く
家族の帰
宅待ち
避難の準
避難の呼び
かけと誘導
サンプル
岩手県 17.2% 20.2% 6.8% 10.3% 6.9% 30% 10.8% 2,516
宮城県 16.5% 20.7% 7.8% 11.6% 8.5% 27.5% 11.1% 6,690
福島県 15.9% 23.8% 8.3% 12.3% 10.7% 22.7% 8.6% 1,501
- 129 -
復興支援調査のデータについても地震時に自宅にいて自宅から避難行動を取った場合を抽出し、切迫
避難を除いて集計した。9に結果を示すが、山田町についてはデータの欠落がありサンプル数が過小に
なったので示していない。
用事後避難や切迫避難を除いた結果、リアス部である山田町と雄勝地区の避難開始時間は5-10分に最
多分布し、主として平野部である石巻市本庁地区は10-20分に最多分布した。津波の到達予測時刻はどち
らも的確に伝わっていないので、この違いは住民の津波に対する警戒心の違いや日頃の準備に由来する
と考えることが出来よう。
内閣府の調査データは各項目の集計値のみの公表なので用事後避難や切迫避難の影響を除くことが出
来ない。また、30分以上がひとくくりで示されているので図10に異なったスケールで示した。岩手県が
5-10分、宮城県と福島県が10-20分で最多となっており、合同調査(山田・石巻)の結果、ならびに復興
支援調査と大凡整合した結果となっている。
図8 合同調査(山田・石巻):避難開始時間(用事後避難、切迫避難を除く、補正後の値)
図9 復興支援調査:避難開始時間(避難目的の行動で切迫避難を除く、補正後の値)
図10 内閣府調査:最初に津波避難を始めたのは地震の揺れが収まってから何分後か?
0
10
20
30
40
<5 5-10 10-20 20-40 40-60 60<
本庁ヒヤリング
本庁ポスティング
山田ヒヤリング
0
10
20
30
40
<5 5-10 10-20 20-40 40-60 60<
本庁
雄勝
0
5
10
15
20
25
<5 <10 <20 <30 >30
岩手
宮城
福島
- 130 -
3.8 避難の手段
避難の手段を集計した結果が表24と表25である。車には自ら運転した場合と同乗した場合を含めてい
る。合同調査(山田・石巻)の山田町のその他4%の多くは船で沖合に出た場合である。
復興支援調査では避難の途中で車から徒歩に、あるいは徒歩から車に変更された場合が細分して調査
されているが、この集計では途中で一度でも車を使った場合は車避難とした。一方、内閣府の調査は複
数回答可で設問しており表26に結果を示した。
合同調査(山田・石巻)の結果から石巻市本庁地区のような平野部では車避難や自転車避難が多くな
り、山田町や雄勝地区のようなリアス部では徒歩避難が多くなる傾向が見える。一方、復興支援調査の
石巻市本庁地区の結果は異なった傾向を示している。避難にどのような手段を使ったかという明確な事
実についての設問に対して異なった傾向が現れるのは調査対象(母集団)の特性に違いがあると考えざ
るを得ない。また、復興支援調査の山田町の一部地域で避難方法のデータが欠落していた。
3.9 ハザードマップを見たか
2011311日以前にハザードマップがどの程度見られていたかを調査した結果が表27と表28である。
石巻市では地区ごとにA4サイズで50100頁の防災ガイド・ハザードマップ(地震、津波、土砂災害、
子力災害を含む)が作成され3.11大津波の2年前に全戸配布されていた23)。山田町では全町をA2サイズ2
枚に分けた津波ハザードマップが作成されていた(配布方法についての情報はない)また、前報の調査
概要で述べたように、全戸配布には間に合わなかったが岩手県が独自に山田町で住民参加型のハザード
マップ作成を進めていたところであったので、それを見たとする回答が含まれている可能性がある。
石巻市の本庁地区、雄勝地区の視認率は共に低い。合同調査(山田・石巻)のポスティング調査で視
認率がやや高い結果となったいるが、設問用紙に市の防災ガイド・ハザードマップの表紙の縮小コピー
を貼り込んでいたことが影響した可能性がある。山田町の視認率は比較的高いが、それでも見たことが
無い、覚えが無いの解答が半数を超えている。
内閣府の調査には直接該当する設問がないが、
2011311日以前に地震・津波への備えとしてどのよ
24 合同調査(山田・石巻):避難の手段
徒歩 自転車 バイク その他 サンプル数
本庁ヒヤリング 41.3% 5.9% 0% 52.6% 0.2% 270.4
本庁ポスティング
37.8% 4.0% 0.1% 58.1% 534.4
雄勝ポスティング
57% 2.7% 0% 40% 37
山田ヒヤリング 53.4% 2.1% 0.5% 40.0% 4.1% 199.9
(補正後の値)
25 復興支援調査:避難の手段
徒歩 自転車 バイク サンプル数
本庁
55.6% 1.2% 0.1% 43.1% 715.1
雄勝
62.7% 0% 0% 37.3% 105.5
山田
49.0% 2.0% 0% 49.0% 55.9
(補正後)
26 内閣府調査:最初に避難した場所までどのような手段で行ったか?
徒歩 自転車 バイク おぶっても
らった
途中で車を降
りて避難
その他・
覚えていない
サンプル
42.7% 1.9% 0.3% 52.5% 0.5% 4.2% 2.1% 7,697
(回答者の地震時に居た場所:岩手県 23. 4%、宮城県 62. 2%、福島県 14. 4%
- 131 -
うなことをしていたかを複数回答可で質問しており、その中でハザードマップの視認に関する項目があ
るので抽出して表29に示した。「ハザードマップで自宅の津波危険度を確認していた」7.4%と低率であ
るが、自宅全壊が回答者の約60%のデータであるので、やや安全なところに自宅があって津波に関心が
薄かったであろう回答者が含まれたデータであることに注意しておく必要がある。
3.10 避難訓練に参加していたか
2011311日以前に防災訓練に参加していたかを設問した結果を表30に示した。復興支援調査と内閣
府調査では「大震災が発生する前にどのような備えをしたか」の設問の中で地域の津波避難訓練に参加
していたかを聞いているのでその答えを表31に併記した。
合同調査(山田・石巻)の石巻市の調査では、防災訓練そのものが行われていなかった、あるいは防
災訓練の内容が津波避難を想定していなかったという意見が多く寄せられており、防災訓練への参加率
も低調であった。一方、山田町の参加率は高く、時々も含めるとおよそ半数の人が参加していた。復興
支援調査でも山田町ではおよそ半数の人達が参加していたと回答している。
27 合同調査(山田・石巻):3 11 日以前に津波ハザードマップを見たことがあるか?
見て参考にし
た。 見たが参考にしたことはない
見たことが無い・覚えていない
サンプル数
本庁ヒヤリング 9.7% 13.09% 77.3% 292.4
本庁ポスティング
15.9% 17.3% 66.8% 664.4
雄勝ポスティング
21% 16% 63% 47
山田ヒヤリング 24.2% 18.9% 56.9% 198.5
補正後の値)
28 復興支援調査:3 11 日以前に津波ハザードマップを見たことがあるか?
見たことがあり 見た覚えが無い
分からない サンプル数
自宅が浸水域かどうか判断した
自宅が水域か分からなかった、その他
本庁
9.8% 7.0% 83.2% 1021
雄勝
10.5% 8.5% 81% 111
山田
31.3% 10.6% 58.1% 230.0
(補正後の値)
29 内閣府調査:東日本大震災以前の備えで何をしていたか?(複数回答可)
津波ハザードマップで サンプル数
自宅津波危険度を確認していた 勤め先の津波危険度を確認していた
7.4% 1.2% 10,791
(回答者の地震時に居た場所:岩手県 23. 4%、宮城県 62. 2%、福島県 14. 4%
30 合同調査(山田・石巻):地域の防災訓練に参加したことがあるか?
ほぼ毎年参加
時々参加
ここ数年は参加していない 参加したことはない
サンプル数
本庁ヒヤリング 15.1% 6.5% 4.3% 74.0% 299.4
本庁ポスティング
10.5% 9.5% 9.5% 70.5% 534.4
雄勝ポスティング
16% 11% 16% 57% 44
山田ヒヤリング 35.4% 18.7% 12.0% 33.9% 196.4
(補正後の値)
- 132 -
4.雄勝地区のデータの特異性に関する考察
(1) 雄勝地区のデータの特異性
以上に示してきた分析結果の中で雄勝地区の結果が定性的な推測に沿わない傾向を示す場合があった。
32がそのリストである。
(2) 回答者の就業状況から見た考察
合同調査(山田・石巻)と復興支援調査の雄勝地区のデータの就業分布を2010年の国勢調査による
雄勝地区の就業分布と比較したのが表33である。また、表34は合同調査(山田・石巻)雄勝地区データ
3
職業と
3
年齢のクロス集計である(補正なしの集計値)合同調査(山田・石巻)の回答者には高齢の
漁師が多いことが分かる。漁師は津波に対して安全第一の行動を取るとは限らない。財産である船を守
るため沖出しをしたり、海岸で様子を見つつ舫いを固めたりする。特に雄勝地区は津波の常襲地帯であ
り、多くの住民は津波慣れしており対処のすべは分かっていると自覚している様子が著者等のヒヤリン
グでも窺えた(事実、高い津波に襲われたにもかかわらず人的被災率は低かった)そのため、漁師の特
殊事情を考慮していない平板なアンケートでは適切な回答が引き出せなかった可能性がある。
復興支援調査の回答者の就業状況は、商店主が勤め人やその他に含まれていると考えれば国勢調査と
大凡同じと見なせる。ただし、自宅全壊のみを抽出したデータセットなので、他の職種より海の近くに
住み自宅が全壊する可能性の高いはずの漁師の割合が国勢調査よりやや少ない事に疑問が残る。
(3) 調査時点での居住場所の影響
合同調査(山田・石巻)の雄勝地区のデータはサンプル数が少ないことに加えて、被災した時は雄勝
にいたが調査の時点では直線距離で約20km離れた本庁の仮設住宅に入居していた人達のデータである。
石巻市全体の「仮設住宅数/全壊住宅数」に雄勝地区の全壊住宅数を掛ける事により雄勝地区の住民に
必要とされる仮設住宅数を推算すると約650戸となる。雄勝地区内に建設された仮設住宅は約250世帯分
であるので、勝地区外の仮設住宅に入居している人達が約400世帯と推定される。合同調査(山田・
巻)はその400世帯の中の本庁地区にいた人達を母集団としてサンプリングしたことになる。石巻市は原
則として被災者の希望と抽選で入居先を決めているが、仮設住宅建設の当初は門脇南浜地区など激甚な
被災地域の住民を優先したとのことであり、雄勝地区についてもその影響があるかもしれない。
表32 雄勝地区の分析結果が特異な傾向を示す事例
表番号 特異な事項
9 合同調査(山田・石巻)の雄勝地区のデータにもリアス地区に特有と思われる津波に対する警戒
心の高さを伺わせる傾向が示されているが、山田町の値ほどに明確でない。
13 リアス部であるにもかかわらず、復興支援調査で「津波が来るかもしれない」が少なく「津波
来ないだろう」あるいは「津波について考えなかった」が多い結果になっている
15 と表 16 防災行政無線とラジオにの回答傾向が合同調査(山田・石巻)と復興支援調査で異なっている。
18 と表 19 「直ぐ避難した」と「直ぐ自宅に戻った」についての回答で合同調査(山田・石巻)の傾向と
興支援調査の傾向が異なっている。
21 合同調査(山田・石巻)の回答で、「防災行政無線やラジオの呼びかけ」が大きくなっている。
31 復興支援調査で津波避難訓練に参加していたとする回答が本庁よりも少ない値となっている。
31 復興支援調査:3.11 以前にどのような備えをしていたか?(複数回答可)
復興支援調査(補正後の値) 内閣府調査
地域の津波避難訓練に参加した
サンプル数
津波避難訓練に参加していた
サンプル数
本庁 16.6% 1021.7 22.2% 10,791
雄勝 12.4% 111.1
(回答者の地震時に居た場所:岩手県 23.4%
宮城県 62.2%、福島県 14.4%
山田 46.1% 231
- 133 -
5.結論
(1) 合同調査(山田・石巻)のヒヤリング調査とポスティング調査のデータを復興支援調査と内閣府調査
のデータと比較しながら分析した。各調査データの傾向に大きな相違は無いが、データの年齢分布と性
別分布を2010年の国勢調査による調査対象地域の分布と比較すると、復興支援調査の山田の場合を除い
て、各調査とも高齢者と女性の多いデータとなっていた。
(2) 合同調査(山田・石巻)のデータの年齢と性別の分布を国勢調査の分布と合わせる重み付けを行って
集計する補正を行うことにより、同じ地域、同じ内容の設問に対するヒヤリングとポスティングの回答
差が縮小し信頼性の高い結果が得られることが分かった。しかし、回答の選択枝が2択でなく3択、
4択の
場合に、ヒヤリングでは両端の回答が選ばれポスティングでは中間の回答が選ばれる傾向が見られ、年
齢と性別の補正では縮小しない。3択、4択の場合、ヒヤリングでは質問者が回答者の話を白黒明確に判
断して両端の回答を選ぶ傾向があるのに対し、ポスティングでは回答者が落ち着いて記入するので熟慮
して中間的な回答を選ぶ傾向があると推定される。
(3) 雄勝地区のデータに不可解な分析結果となる項目があった。合同調査(山田・石巻)は意図して雄勝
のデータを集めておらず、被災時点では雄勝地区の住民であったが調査時点では本庁地区の仮設住宅に
入居していた人達のデータを抽出している。雄勝地区内にも仮設住宅は建設されているので、車で1時間
近くかかる本庁の仮設住宅に入居していた人達は雄勝の平均的な人達と異なった特性を持っていた可能
性がある。
また、合同調査(山田・石巻)のデータは同地区の国勢調査結果と比較すると漁師の割合が高いデー
タである。漁師は津波の来襲が予測される場合に財産である船を守るために沖出しをしたり舫いを固め
たりするため海に向う事がある。漁師の街には独特の文化があってその特殊性を考慮していないアンケ
ートでは津波に対する認識などの実態を的確に捉えられない可能性がある。
(4) 雄勝地区のデータが特異な傾向を示す場合を除くと、各調査ともリアス部で津波に対する警戒心
高く平野部で低くなる傾向が現れていた。
(5) 地震発生から避難するまで、あるいは津波が襲来するまでに自宅にいた人は出先から戻った人も
めるとリアス部で75-85%、平野部で65-75%となる(亡くなられた方についての推定値も含む)。自宅に
33 雄勝地区の回答者と国勢調査の就業状況
回答数
漁師
農業
商店
勤め人
その他
無職
合同調査(山田・石巻)雄勝回答者 本庁仮設住宅入居
47 21% 0 10% 23% 7% 37%
復興支援調査雄勝回答者(自宅全壊のみ) 111 9.1 0 27.5% 7.0% 56.4%
2010 年国勢調査雄勝地区 11.4% 0.2% 6.2% 21.3% 5.1% 55.8%
(回答者欄は補正後の値)
34 雄勝の
3
職業と
3
年齢のクロス集計
年齢 漁師 他職種
無職 サンプル数
補正なしの値
p=0.1054 セル (44.4%) は期待度数が 5 未満、
最小期待度数は 2.77
1049 1 7 6 14
5069 3 7 10 20
7089 6 4 3 13
サンプル数
10 18 19 47
- 134 -
戻る傾向もリアス部の方が多いが、職住接近の他、高齢化が進んで要援護の家族が自宅に居る場合が多
いことも考えられる。出先からの帰宅も含めて在宅率が高いことをリアス部の特徴として留意する必要
がある。
(6) 地震が起きてから避難を開始するまでの所用時間を分析する際に、・出先から自宅に戻る・家族を迎
えに行く・家族の帰りを待つなどの用事後避難と津波が迫ってから避難する切迫避難を除く前処理をす
ると合同調査(山田・石巻)の結果は復興支援調査および内閣府調査とほぼ同じになり、リアス部で5-
10分、平野部10-20分が最も多い回答となる。避難すると決めてからの所要時間に大きな違いは無いはず
であるが、津波に対する危機意識の違いにより、避難決断までに要する時間、事前の備え、細かな所用
の切り捨て度合いなどが違ってくるためであろう。
(7) 移動手段について合同調査(山田石巻)と内閣府調査の結果はリアス部で徒歩が多くなり平野部で
車が多くなる傾向を示すが、復興支援調査の石巻市本庁の結果は異なった傾向を示している。車か徒歩
かという明確な事象についての設問であるので、調査した母集団の特性に相違があった可能性がある。
(8) ハザードマップの視認率はいずれも低い結果であるが、合同調査(山田・石巻)の石巻市本庁地区に
おけるヒヤリング調査とポスティング調査を比較すると、
3.112年前に配布されたハザードマップの表
紙の縮小コピーを添付して設問したポスティング調査の方が1.5倍ほど高い結果となっていた。
(9) 上記の(2)で述べたヒヤリングとポスティングの調査結果の差を小さくするためには、設問に対する
回答の選択枝を2極化しておくことが考えられる。そうすると設問が重層化して複雑になる場合もある
が、設問を準備する側が問題点を階層的に整理しておく機会になる。
(10) 住民の津波避難に関して公開されている調査データやその結果を利用する場合、適用されている調
査方法の特性を知った上で目的とする事項の分析に活用することが望まれる。調査結果を公開する側に
は、調査方法の具体的な内容と一つ一つの調査データの年齢・性別・職業・地域などの特性値を併せて
示すことが望まれる。
(11) 多数の津波被災者の行動調査を行う場合には、まずWeb 調査やポスティング調査で悉皆的な調査を
行い、その結果から詳しく調査すべき課題を抽出して傾聴ヒヤリングを設計し実施することが一般的と
言えよう。合同調査(田・石 )の石巻市における調査はその逆をたどったが、先行したヒヤリング調査
により被災者と話し込むことで実態を早期に聞き取ったことが、調査メンバーの認識を高め、その後の
調査と分析を遂行する力となった。調査団が任意参加で構成され、時間や経費の制約がある中で調査を
進めるケースでは後者が適する場合もあると考えられる。
謝辞
過酷な被災環境の中で調査に協力戴いた山田町、石巻市の市民と関係者の皆様に心よりの感謝を申し
上げる。貴重な調査結果を有効に社会還元すべく今後も努力することで少しでもご厚意に報いたい。ま
た、本報告で引用させていただいた復興支援調査を実施した国土交通省とそのデータを公開している東
京大学空間情報科学研究センター、ならびに内閣府調査を実施した内閣府中央防災会議防災対策推進検
討津波避難対策検討ワーキンググループにも深謝申し上げる。
本報告の著者は合同調査(山田・石巻)の現地調査に参加し、かつ日本地震工学会の「津波等の突発
大災害からの避難と対策に関する研究委員会」に参加し調査結果について議論してきた委員に限らせて
頂いた。調査団に助言戴いた方々、著者以外の現地調査参加者の方々にも深謝申し上げる。
合同調査(山田・石巻)の現地調査経費の多くは JST が実施した J-RAPID プロジェクト 24)より支弁を
受けた。また、土木学会からも現地調査経費の一部の支弁を受けた。
- 135 -
付録1(a) 東日本大震災津波避難調査の事例
通番 調査実施機関 調査の目的 調査対象 調査期間 調査方法
1 ( )東日本放送
()サーベイ
リサーチセンタ
自主調査、実態の早期把握 宮城県沿岸部8市町18 避難所の451
20114 避難所を訪問してヒヤリ
ング
2 山口大学 津波避難行動の実態調査、
避難遅れ、移動手段等の課
題分析
宮城県名取市の避難所の24人と仮
設住宅等の1,135
20114
8
避難所でヒヤリング(24
件)仮設住宅等でポステ
ィング324回収、回収率
29%
3 ( )ウェザーニ
ューズ
津波の犠牲者と生存者の
間での判断,行動の相違の
調査
北海道,青森県,岩手県,宮城県,
福島県,茨城県,千葉県の津波被災
(生存者情報3,298件,犠牲者情報
1,998 件)
20115
6
WEBモニターに協力依
頼のメールを配信し,
WEB上のアンケート調
査票に回答してもらう.
4 東日本大震災津
波避難合同調査
(山田町・石巻
市担当チーム)
被災者の津波避難行動の
実態調査,記録
岩手県山田町の避難所等の214人と
宮城県石巻市の仮設住宅等の1,138
20116
12
避難所、仮設住宅等を訪
問しての傾聴ヒヤリング
555件)と仮設住宅での
ポスティング797件、
収率24%
5 内閣府・消防庁・
気象庁
(被災者関係)
被災者の津波避難行動と
被害の関係の分析
岩手県,宮城県,福島県の沿岸部で
県内避難している被災者870
20117 仮設住宅・避難所を訪問
してヒヤリング
6 内閣府・消防庁・
気象庁
(支援者関係)
避難支援者の状況と課題
の検証
岩手県,宮城県,福島県の9自治体 20117 事前に調査票を送付して
から訪問してヒヤリング
7 国際機関に務め
る有志の会
犠牲率の高かった自治体
の避難行動の特徴、被害拡
大の要因、社会的背景の分
岩手県陸前高田市
住民37(ただし、多くの人の消息
を聞き出し、亡くなられた方55人を
含む207人の行動を調査)
20117 避難所、仮設住宅、被災
した住宅跡、移転先の住
宅などで傾聴ヒヤリング
8 国土交通省住宅
被災地の市街地復興計画、
今後大規模な津波の来襲
が予想される地域におけ
る対策などへの活用
青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉
6県の太平洋側に位置する49市町
村の被災者10603
20119
12
避難所、仮設住宅、自宅
宅などを訪問してヒヤリ
ング
9 茨城県 県民の震災時の行動や意
識について調査・分析し県
の地域防災計画へ反映す
茨城県沿岸部と内陸部の住民
4,594
20119
12
アンケート票を12
000
配布して郵送により
3,890回収、Webアンケー
トにより754件回収
10 日本災害情報学
会東日本大震災
調査団
(津波災害関
係)
災害像の輪郭をつかみ、
難面での課題、災害情報に
関する課題を明らかにし、
今後の効果的な大規模災
害対策に寄与する
東日本大震災において津波被害を
受けた沿岸43自治体(福島原発事故
の影響を受けた6町村を除く)
2011 10
月~2012
9
各自治体を訪問してヒヤ
リング調査
11 内閣府
(団体関係)
津波避難について,被災
者、各関係者の行動と対応
状況の実態を詳細に調査
し,記録として残す。特に
避難行動の促進要因と阻
害要因に注目
岩手県、宮城県、福島県の沿岸市町
村の地方公共団体、民間事業者、
院、社会福祉施設、自治会、
消防団など約550団体
20124
10
各団体へのヒヤリング調
12 内閣府
(集落単位)
同上 青森県、岩手県、宮城県、茨城県、
千葉県の15集落(約260人)
20125
6
戸別訪問による傾聴ヒヤ
リング
13 内閣府
(被災者関係
WEB アンケー
ト)
同上 岩手、宮城、福島を除く大津波警報
発表地域の沿岸市町村の約12,000
20127
8
WEBモニターに協力依
頼のメールを配信し,
WEB上のアンート調査
票に回答してもらう.
14 内閣府
(被災者関係留
置アンケート)
同上 岩手県、宮城県、福島県の沿岸市町
村の27市町の住民11,4 00
20128
10
調査票を配布して訪問回
収する留置アンケート調
- 136 -
付録1(b) 東日本大震災津波避難調査の事例
通番 サンプリング方法 主な調査項目 特徴
1 20
歳以上男女を対
象、詳細は不明
・地震直後の津波リスクの認識
・大津波警報の覚知状況
・避難場所の変更(の必要性、理由)
・必要な情報、震災報道の問題点、
・ボランティアと行政への要望
速報は4月末に公表された。早期の調査であるため避難
所生活への要望が調査されている。
避難場所の変更が設問されているのは、一時避難場所
が安全でなかった事例が多かったためと思われる。
2 仮設住宅等の入居者
全数935 世帯及び市
外借上げ住宅200
・大津波警報の覚知、避難の決断
・避難行動、避難経路、移動手段
・避難場所の変更
・避難しなかった事情と結果
・地震前の備え
津波警報の伝達、車避難の渋滞、2次避難中の被災など
の課題があった地域での調査である。自転車避難の有
用性に注目した分析がされている。
3 ()ウェザーニュー
ズが展開する双方向
気象情報サービスサ
イト「ウェザーニュ
ースタッチ」利用者
・避難開始までの時間
・避難開始のきっかけ
・避難行動、避難場所とその変更
・津波から逃げ切れ無かった理由
・避難場所から危険地域へ戻る理由
生存者に身近な犠牲者の状況を知りうる限り回答して
もらい犠牲者の行動について約2千件の情報を集めて
生存者の行動と比較している。
4 山田町では避難所入
居者から任意抽出
石巻市では主要仮設
団地の全戸を対象
・地震直後の津波リスク認識
・大津波警報の覚知状況
・避難行動、避難場所、
・移動手段と避難ルート
・被災経験、防災養育と訓練の評価
・亡くなられた方の情報
技術者研究者が被災者に直接傾聴ヒヤリングを行って
いる。
ポスティングでは避難ルートや亡くなられた方の情報
を記載してもらっている。
回答者に体験教訓等の後世に伝えたいことを自由記入
してもらっている。
5 不明 ・津波リスクの認識
・大津波警報の覚知状況
・避難のきっかけ、避難しなかった理由
・避難行動、避難先の安全性
・避難手段、車避難選択の理由
・安否確認
・津波との遭遇と巻き込まれた状況
1年前のチリ津波地震時の行動
・防災教育と訓練
揺れが収まった後の避難行動、避難場所、車避難につい
て詳細に分析されている。
6 不明 ・人的被害の軽減に係る役割
・被害状況
・初動体制、防災情報の入手、避難誘導
・水門等の施設操作等
・過去の津波に関する経験
・平時の防災活動,防災計画等
7 不明 ・被害状況
・避難行動
・チリ津波の経験
・避難の準備、避難先の安全性
・愛他的行動
・復旧復興
避難の形態を、避難層、避難遅延層、避難被害層、不避
難層、避難不可層に分け被害拡大の背景要因を分析し
ている。チリ津波の経験のマイナス作用、危険地域への
市街地スプロール、予想津波高さ第1報の過小評価等の
影響を考察している。
8 不明 ・津波リスクの認識
・大津波警報の覚知状況
・避難行動、移動手段と避難ルート
・避難時の状況、避難先等
網羅的で大規模な調査である。避難開始時間、避難移動
手段、避難速度、避難路、避難誘導などについて知見が
とりまとめられている。
9 不明 ・地震直後の津波リスクの認識
・大津波警報の認知
・避難行動、避難手段
内陸部の住民の地震に対する対応も調査されている。
設問の範囲も広く、当日の帰宅行動や事前の備え、地震
による被害、避難所生活の課題、国県市町村の被災後対
応の評価も設問
10 悉皆 ・被災と避難の事実確認
・避難勧告、避難指示の伝達手段
・避難手段(自動車避難の是非)
・避難場所(避難場所の被災)
・復旧の課題
・事前の防災対策、防災教育、ハザード
マップ、広報
津波被害時の自治体からの情報伝達、自治体の対応の
事実及び自治体の意見を聞き取り、記録している。津波
被災自治体に対する悉皆調査として独自性のある調査
である。調査結果は日本災害情報学会のホームページ
で公開されている。
- 137 -
付録1(c) 東日本大震災津波避難調査の事例
通番 資料参照先
1 ()サーベイリサーチセンター宮城県沿岸部における被災地アンケート調 査 報 告 書
http://www.surece.co.jp/src/research/area/pdf/20110311_miyagi.pdf
2 名取市東日本大震災記録誌7 名取市における東日本大震災津波からの避難に関するアンケート調査
村上ひとみ:2011年東日本大震災による名取市の人的被害と避難遅れ影響要因-被害統計と津波避難アンケートの分析
-、地域安全学会論文集、No.24, 2014pp.101-110.
3 ()ウェザーニューズ「東日本大震災」調査結果
http://weathernews.com/ja/nc/press/2011/110908.html
http://weathernews.jp/ip/info/tsunami2011_research/index.html
4 後藤他:東日本大震災津波避難合同調査団の形成と山田町・石巻市担当チーム
による調査結果調査概要-並びに-データ特性分析-、日本地震工学会論文集特集号「津波等の突発大災害からの避難の
課題と対策」に掲載予定
5 内閣府:東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会第7回会合の一連の資料
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/tohokukyokun/7/index.html
12回会合資料3報告(案)参考図表集p3440
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/tohokukyokun/12/pdf/3.pdf
6 内閣府:東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会第7会合資料3
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/tohokukyokun/7/index.html
7 小野、澤井、中須、萩原、三宅2011「陸前高田市における東日本大震災大津波襲来時の住民行動:将来の防災に向け
て」陸前高田市への報告書
中須・倉原2013「災害調査と東日本大震災」『社会と調査』1064-69
8 国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/toshi/toshi-hukkou-arkaibu.html
東京大学空間情報科学研究センター復興支援調査アーカイブ
http://fukkou.csis.u-tokyo.ac.jp/
9 茨城県生活環境部消防防災課平成23年度度茨城県地域防災計画改定調査県民アンケート結果報告
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/seikan/kikikanri/bousai24.4.10/a-houkokusyo.pdf
10 日本災害情報学会HP
http://www.jasdis.gr.jp/_userdata/06chousa/main_data/10daishinsai-rep.pdf
11 内閣府防災対策推進検討委員会津波避難対策検討ワーキンググループ 東日本大震災時の地震・津波避難に関する調査
について
http://www.bousai.go.jp/jishin/tsunami/hinan/index.html
12 同上
13 同上
14 同上
通番 サンプリング方法 主な調査項目 特徴
11 不明 ・被災状況
・震災当日の情報入手・伝達状況
・震災当日の避難誘導状況
・今後の課題
一団体当たり60分程度のヒヤリングで多様な機関の対
応と課題が収集されている。
12 人的被害の状況や当
日の避難の状況など
を確認の上、集落を
選定
・津波に対する意識
・避難行動の促進要因と阻害要因
・集落の住民の避難の全体像
・個人と集落としての意識・行動
津波の犠牲になった人の行動について,確度の高い情
報を得ている。各集落の避難行動のおおむね全体像が
把握されている。
13 WEBモニターの属性
は不明
・地震発生直後の意識・行動
・避難のきっかけ
・避難行動
・東日本大震災前後の意識の変化
地域が広いことと被災が比較的軽微であったことを前
提にしているが主な調査内容は次の調査票によるアン
ケートとほぼ同じである。
14 被災地の中から町丁
を無作為抽出、さら
に住宅地図上で調査
対象者を無作為抽出
し協力いただける方
に調査票配布
・地震発生直後の意識・行動
・避難のきっかけ
・情報伝達
・避難行動
・避難行動の促進要因と阻害要因
・東日本大震災前後の意識の変化
全体で42問、選択肢が多数ある詳細なアンケートであ
る。
- 138 -
付録2 著者等の既発表文献の要約
( 共著者、タイトル、発表先は参考文献リストを参照のこと)
参考文献番号
1著者名 主な内容 主な結論
3) Goto Y.
4) 後藤洋三
合同調査団山田町石巻市担当チームの調査活動
の紹介と一次的な分析結果の報告。
高齢者の被災率が高い、その付き添いで若い世代の親
族が亡くなったケースも見られる、過去の津波災害の
経験がネガティブな影響を与えている、住民の多くは
揺れを感じて逃げている、津波に対する警戒心は石巻
市の平野部で低く、ハザードマップにおける津波の過
小評価が影響している可能性がある。
5) Goto Y 上述に加えて、石巻市の生存者から死者・行方
不明者の状況を聞き取った情報を追加.
死者・行方不明者の約60%は津波来襲時に在宅してい
た、21%が避難中だった、などを追加している。
6) Goto Y. 集落ごとに避難のしやすさと住民の避難力を判
断する指標として「津波犠牲者数」/「全壊家屋
数」を提案、合同調査団の山田町における調査
結果でその適合性を検証。
堤防の高さと倒壊の有無、集落の形成過程、地域防災
活動のレベル、概算避難距離、避難路の整備状況、消
防団による避難支援の有無、などが指標と良く関連づ
けられることを示した。
7) 後藤洋三
8) 後藤洋三
合同調査団石巻市本庁地区の聞き取りデータか
ら門脇南浜地区住民の避難状況を抽出下結果と
同地区内の事業体の集団避難状況の聞き取り結
果を比較的に分析。
事業所はより安全と考えられる避難場所に手順に沿
って避難したのに対し、地域住民には適切な避難リー
ダの不在、地域ぐるみの津波リスク認識の欠如、津波
情報伝達の不備等が影響した。
9) 後藤洋三 2012411日に起きたスマトラ島北部西方沖
地震で生じたインドネシア・バンダアチェの避
難騒動を調査分析したものであるが、合同調査
団の調査データを比較に用いている。
住民の多くが揺れを感じて避難を決断していること、
子供を学校に迎えに行く行動を取ること、直近の津波
の経験を都合良く解釈すること、幹線道路の渋滞がそ
こを横切る避難の障害になること、等でバンダアチェ
と石巻山田の間に共通性が認められる。
10) 田中努
合同調査団山田町石巻市担当チームの調査活動
の概要を土木学会地震工学委員会津波避難調査
小委員会の立場から報告
自動車避難の可否,津波てんでんこの可否について、
研究討論会でディベートセッションを開催したこと
などを報告
11) 市古太郎 内閣府津波避難WG の避難判断モデルを参考
に,合同調査団の石巻市本庁地区と山田町の避
難行動調査結果を分析,考察
山田町は石巻市本庁地区に比べ早期自己判断および
情報に基づく判断というパターン割合が高く,事前の
ハザードマップ認知,家族の話し合い,津波避難訓練
の参加などの多さと整合する.
12) 三上卓 合同調査団のポスティング調査で亡くなられた
方の状況につき知りうる情報を記述してもらっ
た結果と独自の調査から、石巻市で1,012名、
田町で74名の津波犠牲者の行動を分析。
犠牲者の1/2~2/3が津波来襲時に自宅にいた自宅に立
ち寄っていた。避難途中で犠牲になったのは1/5で徒歩
避難中の犠牲者の多くは高齢の女性であった。
13) 三上卓 山田町と石巻市小中学校の日常と災害時の対応
をヒヤリング調査結果の報告。
登下校時も想定した実践的な訓練,瞬時の判断力を高
める教職員の教育,避難所運営について自治体,地域
住民と日頃からの協力関係の構築,等が必要。
14)
藤誠一
石巻市内の罹災家屋位置,死亡者居住地,津波
浸水深,水域最短距離の関係を整理・分析。
浸水深と家屋の罹災状況には強い相関がある,死亡率
と全壊率の関係はばらつきがあるものの,死亡率が高
い場合には全壊率が高い傾向がある。
1
5
) 鈴木光 山田町の小集落単位の日頃からの防災活動と
3.11時の避難状況を分析。
小集落単位で日頃から防災活動が盛んな地域は被災
率が低い.小さく・数多くの防災活動が効果的。
16) Murakami,
H.
石巻市における調査結果について、年齢、避難
距離と避難手段の関係、地域間の移動パターン
と避難手段ならびに車の移動距離の関係、帰宅
後避難の場合の時間ロスを分析、自転車避難の
可能性を検討。
半数以上の人が車で避難し、その40%が渋滞に遭遇し、
6%が津波にのまれた。自転車避難は少数だがより確か
な避難手段となる可能性がある。徒歩避難者の90%
避難距離は1km以下である。車避難の人の1/4は帰宅後
避難者で、17分しか避難時間が無かった。
17) 柳原純夫 石巻市におけるポスティング調査結果から避難
者の移動距離を抽出、避難経路、移動パターン
を検討。
徒歩避難、自動車避難とも近隣の避難場所に移動した
ケースが多い。車避難者の1/4は一度自宅に戻ってお
り、避難可能時間は平均17分であった。
18) 山本一敏 合同調査団の調査結果を直ちに避難、津波は来
るかもしれないと考えるが直ちには避難しな
い、津波は来ないと考えるか津波は考えない、
3パターに分け移動手段と移動距離の関係を
分析。
「直ちに避難」は徒歩避難が多く、「津波は来るかもし
れないと考えるが直ちには避難しない」は車を使った
長距離移動をする傾向にある。
- 139 -
付録 3 合同調査団・山田町担当チームがヒヤリング調査で使用した設問リスト
質 問 回答方法
1 地震発生時、あなたはどちらにいましたか?
10
択、単
2 あなたは地震が起きた時に津波が来ると思いましたか? 4択、単
3
気象庁は、地震の揺れを観測しておよそ 3分後に大津波警報を発表しました。あなた
は、この
大津波警報
を聞きましたか?
4択、単
4 3.で「避難する前に聞いた(避難の途中を含む)」を選択した方にお伺いします。あなたは、今回の大津
波の警報を最初はどのようにして知りましたか?(防災無線、ラジオ、周囲の人など)
14 択、単
5 その情報からどのようなことを知りましたか? 4択、
6 5.で「予想される津波の高さ」を選択された方にお伺いします。津波の高さを何mと聞きましたか? 5択、単
7 あなたは今回の津波を経験する以前は、気象庁の発表する(テレビ等で放送される)津波の高さをどのよ
に受け止めていましたか?
4択、単
8 あなたは避難(敷地を離れて別の場所に移動する、あるいは建物の上層階に移動する)しましたか 5択、単
9 8.で「避難しなかった」を選んだ方のみお答え下さい。何故すぐ避難しなかった、あるいは出来なかっ
のですか?
11 択、単
10 8.で「避難した」を選んだ方はお答え下さい。あなたにとって避難した最も大きなきっかけは何でしたか 10 択、単
11 あなたは、地震が起きてから何分後くらいに避難を始めましたか? 8択、単
12 地震が起きてから避難開始までに、(避難できなかった方は津波が来るまでに)あなたは何をしましたか? 12 択、複
13 あなたはどなたかと一緒に避難しましたか? 7択、複
14 避難をまだしていない人に声をかけましたか? 4択、単
15 まずどこに避難しましたか? 7択、単
16 最初に避難した場所は、津波避難場所と指定された所でしたか? 4択、単
17 あなたはどのように(どの様な移動手段で)避難しましたか? 6択、単
18 車で避難の場合、次のようなことはありましたか?(渋滞に遭ったか、車ごと流されたか、等)7択、複
19 最初に避難した場所から別の場所に移動しましたか? 2択、単
20 あなたが別の場所に避難した最も強い理由は何ですか? 6択、
21 あなたが最初に避難した場所は結果的に津波の被害にあいましたか? 4択、単
22 安全な避難場所から警報が解除されるまでに自宅あるいは職場(港を含む)に戻ろうとしたかどうかをお伺
いします。
5択、単
23 今回の地震で直接、津波を見ましたか? 4択、単
24 23.で「2.来る様子はおおよそ分かる」、「3.津波が来るのを見ていた」を選択された方にお伺いします。
大きな津波は何回来ましたか、おおよそでも分かればその間隔も記入して下さい。また、何回目が一番高
かったかお答え下さい。
3択、単
25 この災害が起こるまでに、あなたは、海で大きな地震が発生してからお住まいの地域に津波が到達するま
で、どれぐらいの時間がかかると思っていましたか?
7択、単
26 あなた自身やご家族(ご両親ですでに亡くなられた方を含みます)で、昭和三陸津波、昭和 35 年チリ津波
で被災(死亡、怪我、家屋家財損失、仕事上の被害な)された方はいますか?
(1) 昭和三陸津波(昭和 8年)
(2) チリ津波(昭和 35 年)
2択、単
2択、単
27 昨年 2月のチリ地震津波の時には、あなたは避難しましたか? 3択、単
28 あなたは、311 日以前に津波ハザードマップ(町が配布する津波の予想浸水域や避難場所などを示し
た地図)を見たことがありましたか?
4択、単
29 あなたは家族で津波について話し合ったことはありますか5択、単
30 あなたは、学校や生涯学習などで習った地震や津波の知識は役に立ちましたか? 6択、単
31 あなたは、地域の防災訓練に参加したことがありますか? 4択、単
32 地域の防災訓練は今回の津波避難に役に立ったと思いますか? 5択、単
33 この度の地震や津波で、あなたのご自宅やご家族はどのような被害を受けましたか? (1) 自宅
2) ご自身
5択、単
3択、単
34 あなたは、これからどのようなところに住みたいと思いますか? 4択、単
35 年齢
36 性別
37 あなたの主たる職業 12 択、単
38 311 日当時の)お住まいの住所
39 上記のお住まいの居住年数
40 可能であればお名前
41 この災害を経験して、あなたは後世にどんなことを伝えたいと思われますか? 自由記述
- 140 -
付録 4 合同調査団・石巻市担当チームがポスティング調査で使用した設問リスト
質 問 回答方法
1 地震発生時、あなたはどちらにいましたか?
9
択、単
2 あなたは地震が起きた時に津波が来ると思いましたか? 4択、単
3
気象庁は、地震の揺れを観測しておよそ3分後に大津波警報を発表しました。あなた
は、この
大津波警報
を聞きましたか?
3択、単
4 市の無線放送(防災無線)は聞こえましたか? 4択、
5 あなたは、311 日の大津波の警報を最初はどのようにして知りましたか?(防災無線、ラジオ、周囲の人
など)
15 択、単
6 その情報からどのようなことを知りましたか? 4択、
7 あなたは避難(敷地を離れて別の場所に移動する、あるいは鉄筋コンクリート建物の3階以上に移動する)
しましたか?
8択、単
8 問7.で 避難しなかったを選んだ方のみお答え下さい。何故避難しなかったのですか?11択、
9 自宅または勤務先の 2階に上がった方にお伺いします。2階まで津波は来ましたか?建物と共に流されま
したか?
3択、複
10 この質問は避難した方、しなかった方に共通です。
地震が起きてから避難開始まで、(避難しなかった方は津波が来るまで)あなたは何をしましたか?
13 択、単
11 避難した方のみお答え下さい。あなたにとって避難を始めたもっとも大きなきっかけは何でしたか? 10 択、
12 あなたは、地震が起きてから何分後くらいに避難を始めましたか? 6択、単
13 あなたはどなたかと一緒に避難しましたか? 6択、複
14 避難中に周りでまだ避難をしていない人に声をかけましたか? 3択、
15 まずどこに避難しましたか? 8択、単
16 あなたは主としてどのような方法で避難しましたか? 5択、
17 車で避難の場合、次のようなことはありましたか?(渋滞に遭ったか、車ごと流されたか、等)7択、複
18 避難の際声かけや誘導がありましたか 6択、複
19 最初に避難した場所(津波が来たときに居た場所)は安全でしたか? 4択、単
20 避難を始めてから最初の避難先に着くまで(または津波に巻き込まれるまで)の経路とおよその所要時間を
以下の例を参考に次ページに分かる範囲でお書きください
21 一度避難した安全な場所から大きな津波が来る前に戻ろうとしたかお伺いします。 3択、単
22 昭和 35 年チリ津波を経験していますか? 3択、単
23 昨年 2月のチリ地震津波の時には、あなたは避難しましたか? 3択、単
24 あなたは、311 日以前に津波ハザードマップ(市が配布する津波の予想浸水域や避難場所などを示し
A4 50 ページくらいの冊子、右下写真参照)を見たことがありましたか?
3択、単
25 あなたは家族で津波について話し合ったことはありますか4択、単
26 あなたは、地域の防災訓練に参加したことがありますか? 4択、単
27 地域の防災訓練は今回の津波避難に役に立ったと思いますか? 4択、単
28 この度の地震や津波で、あなたのご自宅やご家族はどのような被害を受けましたか? (1) 自宅
2) ご自身
4択、単
3択、単
29 年齢 8 択、単
30 性別 2 択、単
31 あなたの主たる職業 12 択、単
32 311 日当時の)お住まいの住所
33 上記の地域に何年お住まいですか(およその数字で結構です)
34 可能であればお名前
情報提供のお願い
あなたのご近所やお知り合いの方でお亡くなりになった方が居られて、どのような状況で亡くなられたか曖
昧ででもおわかりでしたらお教え下さい。
16
亡くなられた方のお名前、凡その年齢、性別もお教え下さい(重複を避けるためです)。
この情報の確かさは?(ほぼ間違いない、多分、はっきりしない) 3
今回の被害の経験から、他の地域の人たちや将来の世代に伝えておきたいことがございましたらお書き
さい。
自由記述
お書きいただいた内容を集め、個人名を匿名にして冊子を作り公表させていただく場合があります。
公表を了解いただけますか
2
公表に際し、読み易い冊子にするため軽微な修正をさせていただく場合があります。
修正を了解いただけますか
2択
- 141 -
参考文献
1) 東京大学社会情報研究所廣井研究室:災害関係調査報告書http://www.hiroi.iii.u-tokyo.ac.jp/index-
houkokusho-rist.htm 20152月閲覧
2) 後藤洋三、池田浩敬、市古太郎、小川雄二郎、北浦勝、佐藤誠一、鈴木光、田中努、仲村成貴、三
上卓、村上ひとみ、柳原純夫、山本一敏:東日本大震災津波避難合同調査団の形成と山田町・石巻
市担当チームによる調査結果 調 査概要 日本地震工学会論文集特集号「津波等の突発大災害か
らの避難の課題と対策」,第 15 巻、第 5号、2015 年、pp.97-117
3) Goto Y.: Fact-Finding about Evacuation from the Unexpectedly Large Tsunami, JAEE Proc. of One Year after
2011 Great East Japan Earthquake – International Symposium on Engineering Lessons Learned from the Great
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4) 後藤洋三,中林一樹:東日本大震災津波避難合同調査団(山田町・石巻市担当チーム)の調査,
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5) Goto Y., Mikami T. and Nakabayashi I.Fact-Finding about the Evacuation from the Unexpectedly Large
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7) 後藤洋三:石巻市門脇町,南浜町の避難行動の聞き取り調査(その 1)- 住 民の避難行動 -,2013
年日本地震工学会年次大会予稿集,DVD 出版,2013 11 月.
8) 後藤洋三:石巻市門脇町,南浜町の避難行動の聞き取り調査結果(その2)- 大規模事業所,学校,
病院,福祉施設等からの避難 -,2013年日本地震工学会年次大会予稿集,DVD出版,201311月.
9) 後藤洋三,印南潤二,Muzailin AFFANNur FADLI:スマトラ北部西方沖地震で生じたバンダアチ
ェ住民の大規模避難行動の調査と分析,土木学会論文集A1(構造・地震工学), Vol. 69, No.42013,
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10) 田中努:東日本大震災時の山田町・石巻市における津波避難に関するヒヤリング調査,2012年土木
学会地震工学研究発表会講演予稿集,DVD出版,201210
11) 市古太郎:東日本大震災における「主体的な津波避難」に関する考察山田町・石巻中心市街地で
の比較分析、第14回日本地震工学シンポジウム予稿集、201412
12) 三上卓:東日本大震災の津波犠牲者に関する調査分析~山田町・石巻市~,土木学会論文集 A1
(構造・地震工学)Vol.70, N0.4, 2014, pp980-915.
13) 三上卓,北浦勝:東日本大震災津波時の石巻市小中学校における避難行動等に関するヒアリング調
査,2012 年土木学会地震工学研究発表会講演予稿集,DVD 出版,2012 10
14) 佐藤誠一,田中努:石巻市の津波被害に対する浸水深と水域距離の影響,2012年土木学会地震工学研
究発表会講演予稿集,DVD出版,201210月.
15) 鈴木光,長谷川庄司,後藤洋三:コミュニティ単位での防災訓練等の活動による避難状況の分析,
2012年土木学会全国大会講演概要集, DVD出版,20129月.
16) Murakami, H., Yanagihara, S., Goto, Y., Mikami, T., Sato, S. and Wakihama, T.:Study on casualty and tsunami
evacuation behavior in Ishinomaki city- Questionnaire survey for the 2011 Great East Japan Earthquake –,
Proc. 10th U.S. National Conf. on Earthq. Engr., USB publication Paper No. 1280, 2014.7.
17) 柳原純夫,村上ひとみ:東日本大震災における石巻市内での避難行動-移動パターン・移動距離から
の分析-,土木学会論文集A1(構造・地震工学), Vol. 69, No.4, 2013, pp1013-1020.
18) 山本一敏、柳原純夫東日本大震災における津波からの避難行動パターン、14回日本地震工学シン
ポジウム予稿集、201412
19) 総理府統計局平成22年度国勢調査 http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/ 20152月閲覧
20) 国土交通省:東日本大震災からの津波被災市街地復興手法検討調査のとりまとめについて
http://www.mlit.go.jp/toshi/toshi-hukkou-arkaibu.html20152月閲覧
21) 内閣府:防災情報のページ、内閣府防災対策推進検討委員会津波避難対策検討ワーキンググルー
プ: 東日本大震災時の地震・津波避難に関する調査について
http://www.bousai.go.jp/jishin/tsunami/hinan/index.html, 20152月閲覧
22) 国土交通省都市局、東京大学空間情報科学研究センター:復興支援調査アーカイブ
- 142 -
http://fukkou.csis.u-tokyo.ac.jp/ 20149月閲
23) 石巻市:防災ガイド・ハザードマップ、20093月.
24) 科学技術振興機構:国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J-RAPID)
http://www.jst.go.jp/inter/sicp/country/j-rapid.html 20149月閲覧.
(受理:201533日)
(掲載決定:2015623日)
The Joint Survey Group about the Tsunami Evacuation of the Great East
Japan Earthquake and Field Study by the Sub-group charged with Yamada
and Ishinomaki -Analysis on Data Characteristics-
GOTO Yozo
1)
, IKEDA Hirotaka
2)
, ICHIKO Taro
3)
,
OGAWA Yujiro
4)
, KITAURA Masaru
5)
, SATO Seiichi
6)
,
SUZUKI Hikari
7)
, TANAKA Tsutomu
8)
,
NAKAMURA Masataka
9)
, MIKAMI Taku
10)
, MURAKAMI Hitomi
11)
,
YANAGIHARA Sumio
12)
and YAMAMOTO Kazutoshi
13)
1) Member, Visiting Researcher, Earthquake Research Institute, the University of Tokyo, Dr. Eng.
2) Nonmember, Professor, Tokoha University, Dr. Urban Sci.
3) Member, Associate professor, Tokyo Metropolitan University, Dr. Urban Sci.
4) Member, Visiting Researcher, Institute of Industrial Science, the University of Tokyo. Dr. Eng.
5) Member, President, Kanazawa Institute of Traditional Crafts, Dr. Eng.
6) Member, Deputy Director Nippon Koei Co., LTD. ME
7) Nonmember, Disaster drill instructor, Institute for Fire Safety & Disaster Preparedness
8) Corporate Member, Director, Eight-Japan Engineering Consultants Inc., Dr. Eng.
9) Member, Associate professor, Nihon University, Dr. Eng.
10) Member, Designated Associate professor, Tokushima University, Dr. Eng.
11) Member, Associate professor, Yamaguchi University, Dr. Eng.
12) Member, Director, Okumura Corporation
13) Member, Deputy Director, Pacific Consultants Co., LTD. ME
ABSTRACT
The preceding paper reported the survey structure of the Tsunami Evacuation Joint Survey Group for the Great East
Japan Earthquake and the tsunamis vulnerable features of Yamada of Iwate prefecture and Ishinomaki of Miyagi
prefecture. As the continued report, this paper introduces the analysis on the characters of the evacuees' behavior
data collected by the team for Yamada and Ishinomaki of the Tsunami Evacuation Joint Survey Group for the Great
East Japan Earthquake, comparing it with the same kind of data sets collected by the Ministry of Land, Infrastructure,
Transportation and Tourism and the Cabinet Office. Through the analysis, it was concluded that the data collected
by the team represented the general feature of the tsunami evacuation well and could be improved by the correction
using age and sex distribution.
It is expected that this report combined with the preceding report will provide the useful information to the users of
the collected data and also provide the experience to the researchers who may do the same kind of the field survey
in future.
Keywords: The Great East Japan Earthquake, Tsunami evacuation, Field survey, Yamada town, Ishinomaki city
- 143 -
... The rate of people at home was defined as the number of sufferers for analysis divided by the total number of people whose houses were completely destroyed. The values are listed in Table 2 and are consistent with the values of a preceding study 23) . It should be noted here that the individual attribute data of the FSC archive defined "completely collapsed houses" to include "washed-out houses". ...
Article
Full-text available
The rate of fatalities caused by tsunamis vary from community to community depending on geographical and socio-psychological features peculiar to each. If the relationship between fatalities rate and geographical and socio-psychological features can be quantitatively formulated, this can be a concrete means for evaluating a community's vulnerability with regard to evacuation (hereafter, evacuation vulnerability) and developing effective measures that can reduce loss of human life. Therefore, the authors of this paper proposed to apply a Human Vulnerability Index (HVI), defined as fatality rate divided by rate of incidence of washed-out buildings, to evaluate the evacuation vulnerability of municipalities. Using reliable public databases, the authors analyzed the HVIs of twenty municipalities that were heavily damaged by the tsunami of the 2011 Great East Japan Earthquake. Then they applied a multiple-regression analysis using the following four factors as explanatory variables: 1) time allowance for evacuation; 2) preparedness; 3) road serviceability; and 4) warning effect. They thus extracted a reliable formula (R=0.904), which enabled them to quantify the effects of these factors on the HVI. Future tasks are to generalize the formula through application to other tsunami disasters and to establish a numerical evaluation of geographical and socio-psychological features to enable estimation of the tsunami evacuation capability of a municipality and the effect of tsunami countermeasures before a tsunami occurs.
Article
In this study, evacuees' rosters and other relevant disaster records are used to geographically clarify the relationship between people's evacuation behavior following the Great East Japan Earthquake, social and demographic characteristics of evacuees, and housing damage caused by tsunami following the earthquake in Yamada Town, Iwate Prefecture. The trend of shelter entry and exit is analyzed on the basis of three scales. The first scale is the municipality unit; trends in the numbers of people entering shelters in Yamada Town are compared to those in other affected municipalities on the coast in Iwate Prefecture and regional differences in these trends are clarified. The second scale is the district or small area unit; regional differences in rates of entry to shelters in Yamada Town and factors affecting these differences are explained geographically. The third scale is the shelter level; regional differences in rates of entry to school shelters in small areas are analyzed in relation to evacuees at two elementary schools. Furthermore, regarding evacuees in a school shelter where a daily list is available, a logistic regression analysis is performed to explain evacuees' decisions on whether or not to stay in the shelter on the basis of variables such as gender, age, and family situation. The regression analysis for the first scale reveals that the decreasing trend in the number of evacuees in shelters in Yamada Town has been slow compared to those in other affected coastal municipalities. The study reveals that progress in the construction of emergency temporary housing is the factor with the greatest impact on an evacuee's decision to leave a shelter. Regarding the second scale, the geographical distribution of the number of shelter residents in Yamada Town is analyzed on the basis of the scale of a district and a small area. The analysis reveals that regional differences in shelter entry rate reflect social network, topographical features, and developmental process of the settlement. Regarding the third scale, the relationship between distance from the shelter and entry rate of affected households is analyzed by small area using the rosters of Yamada Minami Elementary School and Orikasa Elementary School evacuation shelters. A significant correlation is found between average road distance from Yamada Minami Elementary School and affected household entry rate, and it is observed that many residents were from areas located within 1 km from the school. On the other hand, no significant correlation is found between average road distance from Orikasa Elementary school and affected household entry rate. Regarding the Orikasa Elementary School shelter, almost daily entry and exit records could be obtained for the period from April 9, 2011 to August 3, 2011. Using this record, age and family composition of withdrawers during this period could be identified. A logistic regression analysis was performed with gender, age group, marital status, and family type as explanatory variables. With respect to the influence of a resident's age and family structure on his or her exit time, it is found that the withdrawal rate of residents aged 75 years or more was high until the beginning of May. Households that stayed in the shelter with 0 to 18-year-old juveniles tended to find it better to stay in the shelter until their children's schools reopened. After resumption of schools, at the beginning of April; however, they tended to leave in higher numbers. The study concludes that, although schools should support evacuees during the earlier period of an evacuation as large-scale evacuation shelters, various types of shelter should be developed and reorganized to suit the evacuees' needs in case the evacuation is extended for a long period.
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About 44% of the people who evacuated from the giant tsunami of the East Japan Great Earthquake returned home before starting evacuation or dropped in before they reached a safe place. The author used interview data of survivors collected by the City Bureau, the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism; and the Center for Space Information Science of the University of Tokyo, and analysed the purposes and consequences of returning home or dropping in by classifying the data into the rias coast area and the plain coast area, and into foot evacuation and automobile evacuation. Notable among many outcomes were: (1) When evacuees dropped in during evacuation, the time required to escape from tsunami inundation and reach a safe zone, became 3.2 times for foot evacuation in the plain coast area, and became 3.6 times for automobile evacuation in the rias coast area. (2) Safety confirmation and rescue of family, relative, and acquaintance were the most common purposes of returning home and dropping in. For dropping in by automobile, these accounted for 58% in the rias coast area and 64% in the plain coast area. (3) When the required times to reach a safe zone by foot evacuation and automobile evacuation were compared, the results were different according to the following combinations: evacuation in the rias coast or plain coast, evacuation after returning home or coming from home, and evacuation with or without dropping in. But, the data of number weighted averages of the required times for all combinations were almost the same for foot evacuation and automobile evacuation.
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In 2012, Cabinet Office, Government of Japan published a report “the counter measures of TUNAMI evacuation”. This report proposed self-active TUNAMI evacuation. But actually, there are various opinions about “self-active TUNAMI evacuation”. In this paper, firstly, this Japan cabinets&apos; report was summarized and reviewed. Secondly, comparative analysis relating with self-active evacuation in the great east Japan earthquake were shown. And finally, differentiates for self-active evacuation between Yamada Town and Ishinomaki City was discussed mainly as interaction among people, nature and local-community.
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It was concerned that the victims might repeatedly suffer unsolicitous inquiries posed by the many researchers who wanted to know the defect of the people&apos;s response to the tsunami of the Great East Japan Earthquake. Therefore, volunteer researchers and engineers who intended field surveys set the Tsunami Evacuation Joint Survey Group for the Great East Japan Earthquake up and implemented their surveys, coordinating fields with each other to mitigate the load on the victims and raising survey moral. This paper introduces the setting up of the joint survey group first, and reports the outline of the survey by the core sub-group which worked with Yamada town and Ishinomaki city and the social and natural features of these areas from the view point of tsunami evacuation potential. This report is followed by the continued report, which introduces the analysis on the characteristic feature of the data set obtained by the core-group. It is expected that this report and the continued report will provide the basic information to the users of the data from the surveyed fields and also provide the experience to the researchers who may do the same kind of the field survey in future.
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Over 18,000 people were killed or went missing in Tohoku district Pacific coast communities during the March 11, 2011, Great East Japan Earthquake and Tsunami Disaster. The author proposes a victim index, a simple index to evaluate tsunami evacuation potential, for comprehensively evaluating the ease of evacuation and the evacuation capability of residents in communities based on field research data, and determined the index values for 13 villages of Yamada town, Iwate prefecture. Whether the index values matched regional features was analyzed using interview survey data on evacuation actions of residents by the Joint Survey Group on Tsunami Evacuation during the Great East Japan Earthquake and Tsunami Disaster (team for Yamada and Ishinomaki) (Appendix A). As a result, under some restrictions, the difference in features related to the evacuation capability of affected communities could be explained well using the victim index. This index is applicable to compare damaged factors among the communities and allows for the objective analysis of damage potential of each community.
Earthquake Research Institute, the University of Tokyo, Dr. Eng. 2) Nonmember, Professor
  • Visiting Member
  • Researcher
Member, Visiting Researcher, Earthquake Research Institute, the University of Tokyo, Dr. Eng. 2) Nonmember, Professor, Tokoha University, Dr. Urban Sci.
Disaster drill instructor, Institute for Fire Safety & Disaster Preparedness 8) Corporate Member, Director
  • Nonmember
Nonmember, Disaster drill instructor, Institute for Fire Safety & Disaster Preparedness 8) Corporate Member, Director, Eight-Japan Engineering Consultants Inc., Dr. Eng.
11) Member, Associate professor, Yamaguchi University, Dr. Eng. 12) Member, Director, Okumura Corporation 13) Member, Deputy Director
  • Member
Member, Designated Associate professor, Tokushima University, Dr. Eng. 11) Member, Associate professor, Yamaguchi University, Dr. Eng. 12) Member, Director, Okumura Corporation 13) Member, Deputy Director, Pacific Consultants Co., LTD. ME
Study on casualty and tsunami evacuation behavior in Ishinomaki city-Questionnaire survey for the 2011 Great East Japan Earthquake
  • H Murakami
  • S Yanagihara
  • Y Goto
  • T Mikami
  • S Sato
  • T Wakihama
Murakami, H., Yanagihara, S., Goto, Y., Mikami, T., Sato, S. and Wakihama, T.:Study on casualty and tsunami evacuation behavior in Ishinomaki city-Questionnaire survey for the 2011 Great East Japan Earthquake -, Proc. 10th U.S. National Conf. on Earthq. Engr., USB publication Paper No. 1280, 2014.7.